第2話 いざ、幼稚園。

「そういえば、煌羅ももうすぐ3歳よ」


「そうだな。そろそろ何処の幼稚園に入れるべきか考えなきゃだな」


そのことを俺、天星煌紅は妻である沙羅(さら)と話していた。


いや、それ以前になんで暴力団の組長である俺と、絶世の美女と謳われてる女優の湊沙羅(みなとさら)が結婚出来たのか疑問だよ。もしかしてあいつが絡んでるのか。まあ、難しいことはいいや。それよりも煌羅を何処の幼稚園に入れるかだ。


そんなことを思っていたら沙羅が、


「そういえば、面白いところができたのよ」


と、言ってきた。


「へぇー、どんなところ?」


「何かねぇ、幼稚園から大学までの一貫性のところ。あの子もいい歳でしょ?そろそろ長文のあるセリフがある役をしたっていいんじゃない?」


「ちょっと待て、沙羅。話がわからん。どうして幼稚園から大学まで一貫性の学園の話から役者の話になんだよ」


「人の話は最後まで聴く、煌紅。そこの一貫性の学園、『九頭龍学園』は凄いのよ」


そう言いながら『九頭龍学園』のパンフレットを持ってきた。


『九頭龍学園』、幼稚園から大学までの一貫性の学園。小学校高学年の時に内部進学、もしくは別の中学校へ行くかを決める。中学校からは将来なりたいものに向けての専門教科をするという義務教育にあるまじきこともする。中学校で既に学科があり、高校、大学と、計10年専門的なことを学ぶことが出来るのだ。途中で将来の夢が変わっても大丈夫。高校受験時に別の学科、コースに移動することはできる。しかし、その場合は外部進学扱いとなる。それは大学進学時も同様である。


気になる学科はと言うと、


普通科:普通コース

特進コース

スポーツコース

法学コース

言語コース

美術コース


工業科:機械コース

自動車コース

電気コース

建築コース


商業科:ビジネスコース


情報科:情報コース


農業科:農業コース

食品コース

生物コース


水産科:水産コース


家庭科:調理コース

保育コース

被服コース


看護科:看護コース


福祉科:福祉コース


芸能科:タレントコース

マネージャーコース

音楽コース

ボーカリストコース

裏方コース


と、パンフレットの最初の見開きにでかでかと書かれていた。暴力団コースはねぇのか。


「へぇ、面白いやん。なるほど、芸能科があるからここに行かせたいと」


俺は沙羅に率直な感想を言った。


「そう。あの子、私に憧れてるじゃん。母親としては子どもの夢を叶えてあげたいわけ」


「確かにな。それに、もう天星煌羅というブランドが出来上がって来ちゃってるし」


煌羅が産まれて、芸能界に入って3年か。時のながらというものは早いな。

『九頭龍学園』か、家からも近いから良いかもな。


「よし、じゃあ煌羅の通う幼稚園はここにしよう」


と、こんな感じで煌羅の通う幼稚園は決まったのだった。改めて顧みると、俺ら親のエゴ全開だな。





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