第1話 天星煌羅生誕
私、天星煌羅の生まれは特殊だ。私の母さんは女優で色んな作品に出演している。そのうちのひとつの映画で出産するシーンがあったそうで、その時に私が生まれたらしい。
なんか夫婦の絆をテーマにした映画で母さんは主演をお願いされたって話。その映画は日本中を感動させ、色んな賞を受賞するくらいの大ヒット作になった。母さんも主演女優賞を受賞した。
と、その話は置いておいて、このような生まれだから幼少期は結構辛かったね。
母さんはそれ以降も大ヒット作に出演し続けてテレビに引っ張りだこで私にはあまり構ってくれなかったなあ。
たまの休みには構ってくれたり、一緒に遊んでくれたり、何処か遠くまで旅行に行ったりはしたんだけど。
それでも、幼少期の母さんとの思い出は数えるほどしかないかな。
逆に父さんとは沢山遊んだなぁ。
「煌羅、今日は何して遊ぼうか。あ、おままごとだけはやめてくれ。俺は母さんのように演技力ないから」
「そんなことないよ。おかあさんはじょゆうさんってひとなんでしょ?おかあさんにはかてなくてもおとうさんはすごいよ」
「煌羅、お前まだ2歳なのにもうお世辞が言えるようになったのか」
「おせじ?なにそれ、おいしいの?おせちのおともだち?」
「もう少し成長したらわかるようになるよ。で、何して遊びたい?」
「ちゃんばらごっこ。おとうさんがいつもおともだちとやってるやつ」
その瞬間、父さんが吹き出したことを今でも覚えてる。多分、これが私に残る最古の記憶だと思う。
成長した今だからわかるけど、あれは組同士の殺りあいだったって。いやぁ、無知って怖いね。
父さん、名を天星煌紅(てんせいこうく)と言う。父さんは天星組の5代目組長で、歴代最強とも言われている、ついたあだ名は『天性のルビー鬼』。
「煌めく紅だからルビーなのかな?正直に言ってダサいよ」
「んな事俺に言うなよ。誰が着けたんか知らんが異名はカッコイイものがいいよ。厨二っぽいのは嫌だけど。」
「そんなこと言ったらあなたに合う異名なんてないわよ。絶世の美女である私のハートを射抜いた男にはね。」
母さんと父さんがそんなことを話していたこともあったなぁ。当時の私には何の話か分からなかったけど、今ならわかる。あれは世にゆうイチャイチャだってことを。ま、すぐに寝ちゃったからその後どうなったのかは分からないけど。
「そういえば、煌羅ももうすぐ3歳よ。」
「そうだな。そろそろ何処の幼稚園に入れるべきか考えなきゃだな。」
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