最後の五日間 2
あの出来事から二日目である。
僕はカーテンの隙間から入ってくる陽光によって、目を覚ました。
そして背を起こす。
アリスも目を覚ましたようで、背を起こした。
アリスは僕のベッドで寝ていてた。
最後の五日間だから、出来るだけ一緒に過ごそうということで、隣に寝ることにした。
でもさすがに同じベッドに寝れないので、僕はベッドの隣にクッションを枕にしてカーペットの上に寝ていた。夏なので掛け布団が無しなので良い。
アリスは目を擦ってこちらを見つめている。
後光がアリスを照らしていてまるで神のようである。まぁ実際に神なんだが。
「どうしたの...?じっとこっち見て」
「いや...可愛いなって思って」
僕がそう言うと、アリスは顔と耳を赤くして目を伏せる。
「急に恥ずかしいこと言ってどうしたの?」
「どうしたもなにも、思ったことを言っただけだよ」
そうは言うが、僕もだんだんと恥ずかしくなってきて、耳が熱くなってきた。
「アリスも可愛いって言われたら照れるんだな」
僕がそう言うと、アリスはむっとこちらを口を結び、こちらを見つめる。
そして手に枕を持つと、僕の顔に枕を投げつけてきた。
「そんなこと言う隼人には、おしおき」
「イタッ」
枕は見事に僕の顔にクリーンヒット。ナイスエイムである。
僕も負けじと投げられた枕を投げ返すが、ギリギリの所で躱され、ベッドの端に枕が落ちる。
アリスも僕も、枕を回収しようと枕を引っ張ると、アリスが体勢を崩し、僕の上に落ちる。
「ぐへっ」
とうめき声が漏れた。
「あ~~~!大丈夫?」
アリスが慌てて僕の顔を覗き込む。
「うん、大丈夫」
僕とアリスは互いを見つめあうような体勢になる。
「ふはっ、ははははは」
アリスが急に笑い出す。
「ははははは」
それに釣られて僕も笑い出す。
二人で、大きく笑いあった。
===
今日も僕とアリスは外に出かけていた。
今日も嬉しいことに雲が少ないキレイな青い空が広がる晴れである。
「あれ食べるの久しぶりだね」
「確かに、あれ以来食べてないかも」
今日僕たちが行くのは、アリスが初めてご飯を食べた店だ。そう、ハンバーガーである。
そうこう話していると、僕たちは目的の店に着いた。
平日だからか、店の中に客は数人だけだった。
僕たちは店の角にある席に腰を下ろす。
アリスも僕も、この前食べたチーズバーガーを頼んだ。
店員さんがチーズバーガーを三つ運んでくる。
アリスは多分余裕で二つ食べるだろうということで三つ頼んでおいた。
「「いただきまーす」」
僕とアリスは同時にチーズバーガーにかぶりつく。
アリスはこの過ごした期間ですっかり食べるのも上手くなって、口の周りにソースをつけなくなった。
だが、全然食べるスピードは落ちず、いや、逆に上がっているほどだ。
僕がまだ少ししか食べてないのに、アリスはもう一個平らげていた。
「食べるスピードは相変わらず異次元の速さだな」
アリスはコップを手に取って水でハンバーガーを流し込む。
「いいでしょ」
ふふん、とアリスは言って少しどや顔をする。
「僕がそのスピードで食べると絶対喉詰まって死んじゃう。ていうか普通の人なら絶対詰まってるよ」
「え?うそ!?私の食べるスピードってそんなに早いの?隼人は絶対こんなスピードで食べちゃダメだよ?」
アリスは慌てた仕草をする。
最初のころと比べて、表情豊かになったよなぁと。我ながらお父さんのようなことを思う。
いや、もともと表情豊かだったのを隠していただけかもしれない。
そうこう思っているとアリスがもう二つ目のハンバーガーを平らげていた。
「はや...」
思わず声が漏れてしまった。
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