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扉の前についたティナーリアは首を傾げた。
「あれ、アレク兄様まだ来ていないのかしら」
入口前に立ったティナーリアを見て、警備をしていた騎士が扉を開けてしまった。
「クロスター公爵家、ティナーリア様です。」
会場に入るための招待状はアレックスが持っている。だが扉に就いていた騎士は、ソルの首輪に付いた紋章をみてクロスター家だと分かったみたいだ。
予想外に紹介をされて、驚いたティナーリアは開いたドアの所で固まってしまった。
すぐによく通る声が会場に響いた。
「どこへ行っていたのだ 。ああ、皆聞いてくれ。私はクロスター家の長女ティナーリアと婚約する事を今日ここに発表する。そんな所に立っていないで、早くこちらに来るんだティナーリア」
さらに驚いた。言葉も出ない。
後ろの方からアレックスが急いで走ってきているが、そんなのは気づかない。
目線の先にいる父とルーカスも、覚えのない事だったのか驚いて固まっている。
いきなりの婚約発表や、この美しい令嬢があの引きこもりだったなんて、人々が驚きを口にしている。
(おいとりあえずここを出るぞ。だめだ聞こえてないのか。転移か。いや、元の大きさに戻って無理やり連れ出すか・・・いや、目立ちすぎるか)
ソルがその場から離そうと、スカートの裾を咥えて引っ張っているが、そんなのも気にならないくらい体が動かない。
(ーーーどうゆうこと、王太子殿下と婚約って。
どうしようすごい注目されてる)
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