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2日かけて帰国し、家族と使用人のみんなに出迎えてもらい、その日は久しぶりに家族団らんの夕食を過ごした。


湯浴みを終えて部屋でソルと共にくつろいでいると、何やら大きな箱を抱えた兄達がやってきた。

「ティナ、明後日のパーティに着ていくドレスを持ってきたよ」

長身の兄達だが 、箱に隠れて顔が見えなくなっている。でも声でルーカスだとわかった。

「ありがとう嬉しいわ。でもルカ兄様、明後日着ていくにしては箱の数が多くないかしら」

不思議に思って首を傾げていると、後ろから小さな箱を何個も持っているアレックスもやってきた。

「兄さんと一緒にティナに似合うドレスを選びに行ったんだけど、似合いそうなのが沢山あって、気がついたら買っていたんだよ。」大真面目な顔して返答してくるアレックスに苦笑いしてしまう。

「アレク兄様、そうゆう時こそルカ兄様を止めるのがアレク兄様ではないの」

(ティナが関わるとアレクもバカになるな)

(普段は何考えてるか分からないくらい表情に出さないくせにね)

(ティナに似合うの俺も選んだ!)

(あら、サラマンダーよりは私の方がセンスはいいわよ)

ソル、ウンディーネ、サラマンダー、シルフも

口々に盛り上がっている。


「ティナ、どれを着るか決めたのか」

ルカ兄様が箱から出したドレスを並べてくれているけれど、いったい何人で選びに行ったのかしら。8着は並んでいる。

(サラマンダーが選んだのは分かりやすいな)

小声で掛けてきたのはソルだ。

「あの真っ赤のやつよね。きっとあの水色と白のはウンディーネとシルフよ。白いの着たらソルの毛皮とお揃いになれるわね」

小声でコソコソと、ソルと話に夢中になっているうちに、テーブルにはアクセサリーも並んでいた。

いったいいくら使ったのかしら。公爵家も領地経営やその他事業で裕福ではあるし、何しろ兄二人は王立騎士団の第二部隊の団長と第三部隊の副団長だ。騎士団として個人の稼ぎもある。

剣も勉学にも秀でて、国として優秀な人材で公爵家の跡取りとしても、文句の付けようもない二人なのだが。可愛い妹のことになると、どうにも頭のネジが緩むみたいだ。


「ええっと、いま選びきれないから当日までには決めるわ!ソルとエナと相談しながら。でもほんとに、こんなに沢山いいの?」

普段からあまり買い物をしないティナーリアは、沢山の高級品に恐縮してしまう。

「いいんだよこれくらい、可愛い妹の為だから」

「旅の疲れもあるだろう、ゆっくり眠るんだよ」

そういって順番に頭を撫でて部屋を出ていった。

精霊達はみんな残っていて、久しぶりのティナーリアに嬉しいのか今日はここで眠るらしい。


寝台に横になると、足元にソルが横になった。

ティナーリアの顔周りには手のひらサイズのシルフ達が散らばっていた。



翌日は屋敷の庭で、元のサイズに戻ったソルにもたれながら読書をし、シートを敷いてピクニックのように、精霊達と紅茶とクッキーを楽しんだ。

他の貴族の屋敷の倍はあるであろうクロスター公爵家の庭は、門から屋敷の入口までの人目につく所は、庭師によって美しく整えられている。だが身内しか使わない奥の広々した庭は、

ティナーリアが生まれて、ソルがやって来てから両親の案によって全面芝生を敷き詰めた。

外の視界を遮る高い壁沿いには、花や植樹がしてあるので決して殺風景では無い。

邪魔になるものがない、広々とした芝生の庭は、ソルが気にせずに元の大きさに戻れて走って体を動かしたりも出来て、幼い頃からティナーリアとソルのお気に入りの場所だ。

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