第14話
先程の弖城さんとの対面でよく分からなくなってしまったが、取り敢えず私はピアノとしては上出来らしい、とヒカリから聞いた。
今は十月なのに十二月の合唱コンクールの話を何故しているのかというと、答えは簡単。
時間がないから。
十一月前半に文化祭、後半に期末テスト、十二月前半に合唱コンクールという多忙で意味不明でよく分からない行事日程になっているからだ。
最近バタバタして道路標識が喋れるということをすっかり忘れていた。
……何を考えてるんだ私。
まあ、あまり話す機会もなくなるだろうということで、今言ったことと同じようなことをさんひょーに話した。
そうしたら何故かドン引きされた。本当に何故か分からないが、さんひょー曰く、
「最近の高校生ってそんなに多忙か?もうちょっと休めよまた早退するぞ」と心配のような嫌味のような何かを言われた。
そしてあの私に『とんでもないことが起こる』と言ったその他の警告の標識は
「……そんなもんだろ」と少々冷めた反応だった。相変わらず気をつけろと言ってくる。痺れを切らして
「……だから何が危険なの?私は何に気をつければいいの?」
「……"その他の警告"だからな。そんなにはっきりしたことは分からないんだよ」と、そのひょーは言った。ちなみにそのひょーとはヒカリがあだ名をつけた。
さんひょーはそのようなピリピリとした会話を聞いて焦っていたらしい。
そんなに焦るほどのことでもないと思うが……。
「まあまあ二人とも。そこら辺に……」
「「……」」
止められて気まずいというわけではなく、何故焦っているのか分からない上での沈黙。最近は沈黙する場面が多くないか……?
ここである日のさんひょーとの会話を紹介しよう。因みにこの日はそのひょーがいなかった。
「で、ニコは最近どうだ」というさんひょー。
「バタバタしてるって言ったと思ったんだけども……。色々あるからね、急いで通り過ぎることも多くなると思うよ」と曖昧なことを言って見せる。
「色々?色々って何だ?」
「ただの女子高生に突っかかってくるもんじゃないと思う」
「女子高生はJKっていうんだぜ。知ってるか?」
「知ってるよ。誰だと思ってる」
「道路標識と喋ってるちょっと不思議な女子高生」
誰の所為だとも言いたくなったがグッと抑え込んで帰宅。
「まあ、頑張り過ぎて転んだり挫けたりするなよ」
「はあ……」
この言葉がごもっともだったことに私はまだ気づいていない。
まあそんなことはともかく、目先の問題は文化祭だ。
私は部活に入っていないからクラスの出し物だけで済むのが楽だ。
本当は休みたいくらい疲れるから参加するのは嫌なのだけど……。
では今度は文化祭のことを話そう。今から文化祭の間にあまり紹介することもないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます