堕ちた聖女は甦る
ネタバレありです。注意。
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いきなりこの作品か! という部分もあるのですが、主人公が転移も転生もしない純粋な異世界ファンタジーで中長編、読まれることは少ないと思いますのでこちらをレビューいたします!
この作品は、直前の拙作『恋離』が終わった直後の『小説家になろう』さんのところの読者様のご感想で頂いたお題から、翌日には第1話を投稿するという大喜利ネタをやったのがきっかけでした。ただこれ、実際には本来の趣旨とは全く関係なく完全に作者の趣味で突っ走ってます。そういうわけでネタバレ込みのあらすじから。
冒頭で不義の罪に問われたラヴィーリアですが、実際にはこれ、ラヴィーリアがあまりに世間知らずかつ、人との距離を測れないことが原因で、第二王子の女の扱いが上手い事もありつい流されてキスをしてしまっただけ、体の関係もありませんでした。
尤も、ラヴィーリア自身は婚約を解消されてしまうだけのことをしてしまった罪を自覚します。父の指示で辺境へ嫁に出されるところ、そのあまりの純粋さに当の辺境伯からは妻というよりは娘のように見做され、ひと振りの刀剣をお守りとして与えられて辺境行きも白紙に。
その後、ラヴィーリアは両家のお互いの信頼回復のためと、奴隷のような身分でかつての婚約者の元へ引き渡されてしまいます。彼女はさらに娼館へと売り飛ばされ、一緒に売り飛ばされた奴隷の少女は命を落とすことに……。どん底まで落ちたラヴィーリアは、秘められた力――父に疎まれた力――を顕現させ、少女を救います。
ラヴィーリアはこの後、娼館に売られた少女や多くの女性を助けるために奮闘し、その中で何人もの魅力的な(?)男性と関わっていきます。その過程で彼女は立場も変わって行き、思わぬ地位も手にしていきます。
そう! このお話は最初から復縁すっ飛ばしの逆ハーレム成り上がり異世界ファンタジーなのです! 寝取られ全然関係ないやん!――ってブチ切れられるやつです。
◇◇◇◇◇
ラヴィーリア自身は、公爵家三女としての体裁を取り繕うのがやっとのただの女の子。その彼女が貴族としての自覚を持ち、国の現状を憂い、それを変えていきたいと行動していくのがこの物語となります。婚約者のカルナとの復縁はわりとオマケみたいになってます。カルナはトロフィー的ヒロインポジションですね。
この作品の見所は、おそらく地味目の戦闘シーンだと思っています。
何しろ刀剣で板金鎧が斬り裂けず、貫くことができないのですから!
歴戦の戦士の魂を得たラヴィーリアは、非力で軽い体を使って、より体の大きな男や鎧を身に着けた男を相手に死闘を繰り広げます。ラヴィーリアの持つ辺境伯より貰った刀は、鎧を斬り裂くこともできない、盾を割るだけの膂力もない、しなる直剣でもないため鎧の隙間に剣先を滑り込ますこともできない、板金鎧に対して極めて相性の悪い武器でした。
プラチナブロンドの彼女が、背中から衣服を裂きながら長い曲刀を引き抜き先陣を切る。斬られても斬られても死神のように蘇り、敵に立ち塞がる、その姿が見たいがために書いたような小説です。完全に作者の趣味ですね。
従者となったレコールも全身鎧ではありますが
二番目の従者であるフェフロは
こんな感じで逆ハー気味の雰囲気の中、ラヴィーリアは成り上がっていきます。
◇◇◇◇◇
この作品、実は『かみさまなんてことを』と舞台が酷似していますが、『かみさまなんてことを』の王都の遥か昔が舞台になっています。人の売買も禁止されておらず、娼婦の地位もない時代の話です。神殿は廃墟となっており、魔女の信仰も薄らいでいます。
そして大賢者様が登場します。『かみさまなんてことを』では本名は明かされませんでしたが、本名だけでなく、異世界に来る前の名前までラヴィーリアに明かしています。キャラも変わっていませんし、この当時から居たということになります。あとアリアの血族も登場しますね。
そういうわけで、第一話の印象とは全く異なり、かなり趣味に振っている作品ですので気が向いたら読んでみてください。あとオチはいつものやつです。
何卒、宜しくお願い申し上げます。
『堕ちた聖女は甦る』
https://kakuyomu.jp/works/16817330658060844181
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