自給自足レビュー

あんぜ

かみさまなんてことを

 ネタバレありです。注意。



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 作者が初めて書いた小説です! 処女作です! いろんな意味で!

 そして全ての拙作の原点であり、要素が詰まっています。


 まずこちらの作品が生まれた経緯を簡単に。

 こちらは前年の末、作者がweb小説を読みまくってインプットが過剰になってしまった結果、夢で出てきた一場面を再現するために書いた小説です。その一場面とは――第一部での重要なシーン――アリアとの叡智のシーンですね。



 主人公のユーキが淡い恋心を寄せているアリア、もしかしたらお互いが好き合っているかもしれないアリア。血まみれで今にも命が果てようとしているルシャを助けるため、アリアと契りを結ぶ必要が生じます。


 主人公のユーキはその運命を呪い、自身を呪い、混濁した意識のままアリアに交換条件を持ち掛けます。ルシャを助けるために抱かせてくれ――と。


 主人公のユーキはアリアを傷つけたと思い込み、自暴自棄に。


 対してアリアはそんなユーキを受け入れていたにもかかわらず、逃げ出してしまったユーキを追いかけ、助けますが、謝ってばかりのユーキに納得がいきません。二人はお互いに想い合っているにもかかわらず、上手く意思疎通ができないまま。


 そんなところにルシャの持病悪化の知らせが。死にかけたことが引き金となり、急激に病に飲まれようとしているルシャは、愛するユーキに自身を抱いて救って欲しいと懇願します。しかしルシャは懇願の中、自分は本当はユーキとアリアの仲が元通りになることを望んでいるんだということを知ります。


 逃げ出したアリアに対し、ルシャはユーキへの愛よりも自身の命よりも、ユーキにアリアを追わせることを選択します。


 序盤の話からは想像もできないかもしれませんが、こういうお話です。



 ◇◇◇◇◇



 ユーキは幼馴染とのトラウマが原因で女性からは常に一歩引いていましたが、アリアと学生のような恋をし、ゆっくりと愛情を育んでいっているところでの事件でした。基本的に、第一部から第三部までを通じて、ユーキはアリアとのこの平和な恋愛の時間を大事にしていこうと足掻きます。ここがこの物語のいちばん大事なところです。


 ユーキは、アリアが面倒を見ていた孤児院の女の子たち――成人を前に痩せ細っていたキリカ、ルシャ、リーメ――彼女らにちゃんと食事をさせ、力になり、少しずつ信頼を得ていきます。


 結局のところ、ハーレムになってしまうわけですが、単純に全員が全員、似たような関係性にはなりません。アリアとは学生同士のような恋を、ルシャからはユーキとアリアへの深い愛情と献身を、キリカはアリアを愛しておりながらユーキも大事にし、リーメはぶっきらぼうな口調ながらもユーキを密かに想っています。


 この辺りは後の作品の構成と類似してると思います。おそらく、作者の好みですね。『恋する僕を裏切って男に走った彼女たち、みんな僕を離してくれない! (以下、恋離)』のハーレムも構成がよく似ています。



 ◇◇◇◇◇



 アリアたちはまた、寝取られそうで寝取られない立ち位置にしばしば立たされます。貴族との婚約に始まり、より地位の高い存在からの指示、同行を強要させられる騎士団長や魅了持ちの勇者、そしてまさかの悪役令息との入れ替わり……。


 この『られそでられない』をテーマにしたのが『僕の彼女は押しに弱い』です。そのヒロイン、渚の原点はアリアです。恋人への貞操を守り抜き、思わせぶりな隙さえ見せたくない――という徹底的な異性への態度を取り続けます。


 作中で主人公のユーキは、アリアたちに何かあったとしても許し、迎え入れることができるという考えに至り、拙作にしばしば出てくる『復縁』のテーマもクリアします。



 最終的にユーキはトラウマの原因となった幼馴染との問題を解決するに至ります。そうして、ユーキはみたび平和なアリアとの生活を取り戻し、彼女たちとの生活は続いていきます。



 ◇◇◇◇◇



 ユーキはかなり拗らせた高校一年生です。自身を処女厨と思っており、女性も苦手。にも拘らず、異世界召喚の際に女神より、処女と交わることで『祝福』を呼び覚ます力を与えられてしまいます。酷い設定ここに極まれりですね! 彼はこの物語を通して成長していきます。


 アリアは恋愛にはあまり興味の無い剣士でしたが、自信無げだけど善良なユーキと出会うことで徐々に惹かれていきます。ヒロインにしては無口ですが、照れ屋でそして一途です。ユーキとは学生のような恋愛を希望され、最初以降、体の関係は持たずに過ごします。作者、アリア大好きです!


 ルシャは最初ひどく無口で何を考えているか分かりませんが、優しく、そして自身の食欲を満たしてくれるユーキに惹かれ、愛を募らせていきます。ですが、アリアとユーキの愛を自分以上に大事にし、自分よりも優先します。他の作品にも似たポジションのキャラが居ると思います。『恋離』の咲枝とか、印象は違いますが『僕の彼女は押しに弱い』の七虹香とか、『堕チタ勇者ハ甦ル』のミルーシャも執筆時点ではそんな感じです。


 キリカは背の高さが特徴の、作者好みのルックスの女性です。女性はまず背の高さからという感じの作者なので、拙作には必ずと言っていいほどこのタイプの女性が登場します。真琴、七海、佐伯さん、さやっち(変形後)、渡辺さん、奥村さん、ミルーシャといったところですね。鎧を纏った背の高い金髪の女性の直剣持ちは最高ですね。


 リーメはぶっきらぼうな魔術師キャラなので基本オマケです。居るんだか居ないんだか存在感が薄いけれど、ピンチの時には助けてくれる。『恋離』の貴島 加奈(子)と似たポジションですね。『僕の彼女は押しに弱い』にも似たポジションのキャラが居るんですけど、出番遅すぎて動けてませんw


 ハルカは無敵の幼馴染ですね。彼女についてはスピンオフの方を読んで頂ければどんなキャラかわかります。彼女に関しては、『堕ちた聖女は甦る』や『堕チタ勇者ハ甦ル』に通じる瑕疵女性(ハルカの場合はそこまででも無いですが)の再生の物語となってる部分も共通していますね(追記)。



 本作、とにかく召喚されて直後はユーキの視野が狭窄しており、情報をわざと混乱させていますので非常に読み辛いかもしれませんし、アリアとの出会いは高校生のバス停での出会いのように言葉少なに語られるので把握し辛いかもしれませんが、序盤のとっつき辛さを越えたら楽しんで頂けるかなと思いますので、ぜひ一度、お読みいただけると嬉しいです。


 2月に書き始め、10日ほどで第一部を書き上げ、第二部を11日、第三部を16日、合計20万字ほどを書いた作品です。当時からほとんど感想を頂けていないので、ぜひ皆さんに読んで頂きたい作品です。


 何卒、宜しくお願い申し上げます。



『かみさまなんてことを』

https://kakuyomu.jp/works/16817330653233164210






 追記

 私も時々やるのですが、長編の最終話だけ読んで自分に合うかどうかのチェック。この作品で最終話だけ読むとホラーになります! 普通に読めばわかりますが、彼女は実子ではありませんので!w


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