第4話 魔族との戦闘
俺が剣を抜いたのを見たボルは、よりいっそう警戒心を深めていた。
そして、ボルが俺に向かって
俺はボルの弧を描くように走りながら
その瞬間を見逃さず、ボルの間合いに入り、斬りかかる。すると、ボルの爪と剣が交わり、鍔迫り合いが起きる。
その瞬間、ボルは不気味な笑みを浮かべた。
「お前が近づいてきてくれてよかったよ」
「え?」
何が起こったのかわからないまま、腹部に損傷を受ける。
「ウゥ……」
手を腹に当てながら一歩引こうとするが、トドメを刺しに来るボル。それをカバーする形でシェルが魔法を放ち、距離を取ることが出来た。
「すぐに治癒魔法をします」
「あ、ありがとうございます」
唯一俺が使えない魔法である治癒魔法。それをシェルさんが使えたのは不幸中の幸いであった。
あっという間に傷が無くなったが、痛みが引いたわけではない。
「ダイラルさん、なぜ剣を使っているのですか?」
「それは、魔法が使えないから……」
「違いますよね? あなたは魔法から逃げたわけではない。選択の幅を増やしただけです」
「??」
俺が首をかしげていると、シェルさんが言う。
「今の言葉を忘れないでください。剣を使うのは、魔法の幅を増やす手段でしかないことを」
「は、はい」
俺はその言葉を理解できないまま、ボルと戦闘を再開した。
無数に放ってくる魔法を
そして、距離を詰められそうな状況なら、間合いに入り斬りかかる。
そんな攻防を五分ほど繰り返したとき、運悪くシェルさんが放った魔法が俺の剣にぶつかる。
その時、一瞬剣が赤みを帯びた。
(そういうことか)
そこでやっと、シェルさんが言っていたことを理解する。
剣は、魔法の幅を広げる手段でしかない。魔法を剣に付与させるために使う。それが今できること。
だけど、魔法を剣にぶつけたところで、長く時間が続くわけではない。もし、直接魔法を剣に使ったら、剣はすぐに大破してしまう。
そう考えながら、ボルと戦っていると、
(これだ)
その瞬間、剣に魔素を込めると、剣に赤みが帯び始めた。
「できた」
それを見たボルは驚きを隠し切れない表情をしていた。
「お、お前。何をしたんだ!?」
「さぁ」
俺がボルの方へ近寄ると、無数の魔法を放ってくる。それに対し、剣で斬りさばけるものは対処し、それができないものは
そして、ボルの間合いに入り、体を真っ二つに斬り裂いた。
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