第2話 ヒロインとの出会い
エルフの女性が全身ボロボロの状態で魔法を放とうとした瞬間、スケルトンたちが一斉に攻撃を仕掛けた。
(やばい)
一番早く攻撃しそうなスケルトンを
そこでやっとエルフの女性の魔法が放たれ、残りのスケルトンたちが一斉に倒された。
「だ、大丈夫ですか?」
俺の問いかけにエルフの女性は驚いた表情をしていた。
「えっと、助けてくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ間に合ってよかったです」
安堵しながらエルフの女性の手を握ると、立ち上がった。
「あなたは?」
「ダイラル・アルラインと申します」
「あなたが……」
「??」
俺は首をかしげながらエルフの女性の見る。
「私はシェル・ライドリアと申します」
「ライドリアって……」
「えぇ、あなたが思っている通り、エルフの第三王女です」
言葉が出てこなかった。なんせ、目の前に王女がいるのだから。
(でも、なんでこんなところにいるんだ?)
王女という立場上、こんなところにいるはずがない。いたとしても、護衛の一人でもいるはず。
「なぜここにって表情をしていますね」
「あはは……」
「ここが遺跡ってことは分かりますよね?」
「はい」
(まあ、遺跡調査って依頼で来ているしな)
「この遺跡は魔族が関わっているかもしれない遺跡です」
「は?」
前世ではよく魔族という言葉を聞いていたが、この世界に転生されてから魔族という言葉を聞いたことがなかった。
「人間ならそういう反応をしますよね」
「え、えぇ」
「数十年前から魔族の活動が収まっているというのは知っていますよね?」
「はい」
「それは、間違いです。収まっているのではなく、蓄えていた」
その言葉に驚きを隠し切れなかった。
「それは本当ですか?」
「はい。遺跡の一部には魔王が封印された時、名持の魔族たちを封印した場所です」
「……」
「信じられないって表情をしていますね。ですが、これが事実です」
(そりゃあそうだ)
魔族を封印した場所を遺跡なんて聞いたことがなかった。
「じゃ、じゃあここにも?」
「はい」
「ご、護衛の方たちは?」
「魔族に殺されました」
その言葉を聞いて、絶句してしまった。
「ここから半日ほど歩いたところに魔族が封印されていました。それを倒すために来たのですが、私以外全滅してしまいました」
「……」
「ここにいた魔族は名持の中では最弱。それでも全滅させるほどの実力はあるってことです」
「じゃ、じゃあ逃げるしか」
俺の言葉にシェルさんは首を横に振った。
「私たちが封印から解かれている魔族を見つけてしまった以上、逃げることはできないでしょう」
「でも……」
「言いたいことは分かります。ですが、もし逃げられたとしても一週間もしないうちにあたり一帯が血の海になるのは明白です」
「だったら、なおさら周辺国に伝えた方がいいのでは?」
魔族が強いのは分かる。だが、多勢でかかれば勝てないわけではない。
「それは魔族も言えることでしょうね」
「!!」
「それに、もし私たちが死ねは魔族は仲間に言わない選択肢があるかもしれない」
「そんなの……」
「考えて見てください。封印を解かれてなお、魔族がここに至ってことは、何かしら遺跡に残るメリットがあったとも考えられます」
「そ、それはそうですが」
シェルさんが言う通り、ここに残るメリットがあったから残っている可能性もある。だから、ここで俺たちが死ねば遺跡から出てこない可能性もある。
「ほかにも、方法はあります」
「何ですか?」
「私たちで魔族を倒す。もしくはダイラルさんだけ逃げて外に情報を流すってことです」
俺にとっては後者を取れば、生き残る可能性は高い。だが、それをしたらシェルさんを見殺しにするのは必然。
「お願いします。一緒に魔族と戦いませんか?」
「はい」
出来れば逃げたい。こんなところで死にたくない。だけど、嫌なんて言えない。
「ありがとうございます。それに私の考えなら……」
「??」
俺は首をかしげながら、シェルさんと作戦会議を行った後、魔族のいる場所へと向かっていった。
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