第6話復讐

日比谷ハルは現在シビトが見えない状況である。前回七瀬と相澤が容疑者達にシビトが見えているかどうか確認された時に、日比谷ハルはそれから逃れる為に、自身がシビトを見えない状況にしていた。日比谷ハルは再びシビトが見えるようにするために、今回あえて、山本から恨みを買った。

日比谷ハルが暗い廊下を歩いていると人影が見え始める。

「久しぶりだな。シビト」

「ふふっまた会ったね。」

「お前が出てきたということは近いうちに僕は命を狙われるということだな。」

「そうなるね。何か対策でもしてるの?」

「もちろんだ。ただし、お前にも少し協力してもらう。」

「程度によるけどね」

「そんな大したことじゃない。まぁ…面白いものが見れるさ。」

シビトの口元が緩む。



女子トイレでカナコが山本が急に七瀬へのいじめをやめるように行ってきたことに対して苛立ちを周囲の女子達に愚痴っていた。

「あいつ、絶対七瀬とやったでしょ。」

「は?山本はそんなことしないよ」

「じゃあ。なんで急に七瀬を庇い始めたのかね?あいつ多分もうお前のこと好きじゃないよ。」

「つーか山本うざくね。なんであんな奴と付き合ってんの?」

「それな。あいつのどこがいいの?」

「まぁ男子たちの協力は得られなくなったけど私たちだけでもあいつの妨害出来るし。テストが終わるまであいつをバレないようにいじめといて」

カナコは周囲の女子に指示を出す。


七瀬は相澤のクラスを訪れる。

七瀬が相澤に手招きし、相澤はそれに気づき、教室の外に出る。

「どうしたの?七瀬さん」

「相澤くん。日比谷を警戒しといて。私は今回のテストの事で忙しいから。」

「わかった。確か、僕たちの推理だと日比谷くんはまだシビトが見えない状況なんじゃなかったっけ?」

「そうよ。つまり、日比谷ハル1人で殺人を起こせば死体を消すことは出来ない。」

「だとしたら、まず真っ先にシビトを再び見えるようにするために自分にシビトをつかせるよね。」

それを聞き七瀬はハッと気づく。

「どうしたの?七瀬さん。」

「いや、なんでもない。」

「?」

「とにかく日比谷にシビトがついてないか確認しておいて。」

七瀬は踵を返し、足早に立ち去る。

「どうしたんだ?七瀬のやつ。」

七瀬は今回日比谷ハルが自分を助けるために山本に攻撃を仕掛けた理由が再びシビトを自分が見えるようにするためであることが分かった。しかし、そのことを話せば、自分がいじめられていて、それを日比谷ハルに助けられたということも相澤に知られてしまう。

七瀬のプライドがそれを許さなかった。


七瀬が自分の席に着席すると、自分の鞄が無いことに気づく。

おそらくカナコに奪われたのだと推測する。

「そろそろ面倒になってきたわね。」

放課後、七瀬は新宿のビックカメラに寄った。

そこで、小型の監視カメラとジャンク品のパソコンを購入した。そして、もう一度学校の教室へと戻る。その際、カナコとサチエその他に、カナコの取り巻きの女子たちが図書館で勉強しているのを確認する。

七瀬は教室に戻り、パソコンに小型カメラを取り付け開いたまま七瀬の机(1番右の1番前)の正面にある、

先生のパソコンを置くための机の上に先程作ったパソコンを開いたまま置く。その際に小型カメラを起動しておく。

その後七瀬は借りていた本を返す為に、図書館に入り本を返すために図書委員と話す。カナコ達に聞こえるように。

「借りていた本の返却に来ました。」

「はい。」

図書委員は本を確認し、

「はい。どうぞ。」

「ありがとうございます。それと、赤本を借りたいんですけどいいですか?」

「はい。いいですよ。ただし、赤本は家に持ち帰るのは禁止なので学校において言ってくださいね。」

「わかりました。」

七瀬はその本を手に取り図書室を出て教室に向かう。

その様子を見てたカナコ達は小声で話す

「あいつの今借りた赤本破りに行く?」

「行く行く。」

「サチエは来る?」

「あ〜ごめん!今日この後塾があって」

「あっそうなのわかった。」

カナコ達が教室に向かった後サチエは勉強道具を片付け帰路に着く。

校門前で七瀬が立っているのを見かけるとサチエは話しかける。

「カナコ達があんたの赤本破りに行ったけど大丈夫?」

「サチエあなたは確かカナコの味方じゃなかったかしら?」

「最近の、カナコ達はやりすぎだと思っているよ。」

「…」

七瀬は一瞬沈黙するもすぐに、

「いいんじゃないかしら?勝手にやらせておけば。」

そう言い残し、七瀬は歩き始める。

「ちょっと待ってよ!」

サチエは七瀬の腕を掴む。

「いいの?あいつらにやられっぱなしで!」

「別に気にしてないわ。それよりも忠告しといてあげる。余計な事をしない方がいいわよ?今度は貴方がいじめの対象になるわよ?」

サチエの表情が強ばる。手の力が緩み、七瀬はその手を振りほどき歩いていった。

サチエはその後ろ姿を見て俯く。

そして、サチエは決心したように校内へと入っていき、カナコ達のいるであろう教室に入っていく。

教室ではカナコ達が赤本をビリビリに1ページずつ破いているところだった。

「あれサチエなんで来たの?」

カナコに問われた瞬間サチエは大声で叫ぶ。

「もうやめようよ!」

場が一瞬静寂に包まれる

「は?なんつった?」

カナコがサチエを睨みつける。

カナコの周りの2人がサチエを机に押さえつける。。

「離しなさいよ!」

「サチエ。あんた最近ノリ悪いと思ってたけどそっち側についていたとはね…」

カナコが腕を組む。

そして直ぐにそうだ!とニヤリと笑うと

カナコのバッグを取り上げ中身を教室にぶちまける。

「やめて!」

「うるせーんだよ。静かにしてろ」

と取り巻きに更に力強く抑えられる。

そしてカナコはその中の一つカッターナイフを取り出すとサチエに近づいてくる。

「いや!やめてぇ!」

カナコがサチエの頭を抑えてカッターナイフを顔に突き刺そうとした瞬間

「やめたほうがいいわよ」

と教室の入口から声が聞こえてきた。

全員声の方を見るとそこには七瀬が腕を組んでたっていた。

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