第5話離反者
「おい山本。日比谷くんがお前のこと呼んでるぞ」
「日比谷?俺になんか用かよ」
山本は渋々席を立ち上がり、教室の入口に立っている日比谷ハルの元へ行く。
「はじめまして山本くん。わざわざ呼び出して申し訳ないね」
「なんの用?」
「ここじゃなんだ。場所を移してもいいかな?」
「あぁ?」
山本が怪訝な顔をする
2人は場所を屋上へと移す。
「で俺になんの用?」
日比谷ハルは山本の方へ振り向き、
「今B組で七瀬って奴をいじめてるでしょ?」
「いやいじめてねぇよ。」
山本がイライラしながら返答する
日比谷はスマホをポケットから取りだし、写真を山本に見せる。それは山本が薬の取引をしている証拠写真だった。
「てめぇなんでそれを」
山本が激怒し、咄嗟に日比谷ハルに殴りかかる。
日比谷ハルはそのパンチをギリギリで交わす
「危なって、あ」
日比谷ハルの手に持ってるスマホが手から抜け落ち、そのまま屋上から落ちる1歩手前まで飛んでいってしまった。
それを見た山本はすぐさまそのスマホを屋上から蹴り落とそうとスマホの方へ距離を詰める。
しかし、日比谷ハルはこれを待っていた。
山本が背中を見せた隙に山本の股間目掛けて蹴りを放った。
山本は悶絶し、その場に倒れ込んだ。
「君が喧嘩が強い噂は聞いている。真正面からやり合えばそこそこ君に苦戦させられただろう。だから少々頭を使って君の隙を作らせてもらった。」
日比谷ハルは自分のスマホを拾い上げる。
「これを流されたら君がどうなるかわかるよね?」
「ハァハァ…俺を脅しているっていうのかよ…」
「協力してくれたらこの写真は消してあげよう。」
日比谷ハルの顔はまるで悪魔のような顔をしていた。
「俺に何をしろって言うんだよ…」
「七瀬って女をいじめているだろ?それを君が辞めるように誘導できないか?」
「あ?なんでお前が七瀬を…もしかしてあいつお前の女か?」
日比谷はそれを聞き思わず笑い始める。
「クッハハハ」(この低脳の頭の中にはそれしかないのか)
「何がおかしい?」
「いや、なんでもない。とにかく、よろしく頼むよ。この写真を消すかは君の働き次第だ。」
「じゃあ僕はもう行くよ。頼んだよ」
日比谷ハルはそう言い残すと、屋上を去っていった。
「あの野郎…ぜってぇぶっ殺す…」
山本は密かにそう決意する。
3時限目が終わったあと、山本は教室で自身のグループとカナコグループを集めて話を始めた。
「カナコもういい加減いじめやめようぜ」
「は?何言ってんの?急にどうした?」
カナコが苦笑いしながら聞く。
「もう七瀬をいじめんのやめろつってんの」
「は?意味わかんねー」
「一志急にどうした?w」
カナコ陣営の女子が山本に文句を言い始める。
「確かに俺はもう飽きたわ」
と山本陣営の男子からも出てくる。
そして、ほどなくして両陣営の口論に発展する。
七瀬はその口論を横目に教室を出ると、廊下には日比谷ハルが腕を組んで立っていた。
「中々面白いことになっているじゃないか。」
「貴方…一体何をしたの?…」
「山本の犯罪の証拠をチラつかせたらご覧の通りさ。」
「そう。今回は感謝するわ」
「礼には及ばない。それより君は今回のテストの事に集中した方がいい。」
「余計なお世話ね。」
「ククッ軽口が叩けるなら平気だな。では僕はそろそろ失礼するよ」
日比谷ハルは手を振り自身のクラスの方へと歩いてった。
(今回のテストをブラフにまた事件が起きないか警戒しておく必要があるわね…)
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