第4話孤立

七瀬はビリビリに破かれた教科書やノートを手に取る。

(カナコとサチエがやったのかしら。あの2人も必死なのね。)

七瀬は腕を組み、

(放課後に私のロッカーの鍵を全通り試して開けたのかしら。いやこの教室は放課後教室で授業についていけない生徒が補習を受けている。そんな中私のロッカーをいじってたらバレるはず。となれば教室の鍵が閉まっている時間帯に忘れ物を取りに来たという体なら誰にもみられずに私のロッカーの鍵を開けれる。)

そんな思考をめぐらせていると後ろから

「あらひどー。」

カナコがわざとらしく指をさして言う。

「一体誰の仕業なんでしょうねー。」

「やっている事がくだらないわね。弁償してもらうわよ。カナコ」

「は?私じゃねーし。なんの証拠があるんだよ。」

「…」

「ほらやっぱり証拠ねーじゃんかよ。謝れよ。」

七瀬は真顔でカナコの方を見続ける。

「あ?喋れなくなったか?こいつ。なんとかいえよ!」

カナコは七瀬の胸ぐらをつかもうとした瞬間、

「もうやめなよ!」

その近くにいた3-Bの女子生徒の久保さんがカナコを止める。

「ふん。」

カナコは自分の席に戻った。

「大丈夫?七瀬さん。」

「えぇ。平気よ。」

七瀬は何事も無かったかのように教室を出ていった。

相澤マコトは朝登校し、席に座り、頬に手を付きボーッとしているところ、七瀬に呼ばれる。

マコトはなに?と廊下に出て七瀬に聞くと、

「教科書とノート破かれちゃったからしばらくの間使ってない科目の教科書とノートのページを破って貸してくんない?」

「あぁ。いいけど。大丈夫か?」

「えぇ。もう証拠がどこにあるかも見当ついているし、近いうちに証拠を彼女達につきつけるわ。」

「そうか。わかった。」

マコトは教室に戻り、教科書とノートのページを破り七瀬に渡す。

「ありがとう。」

「また必要になったらこっちに来れば渡すから。」

「えぇ。そうさせてもらうわ。」

七瀬は自分の教室に戻り席に着く。

先程カナコをとめてくれた女子生徒久保が七瀬に近づいてくる。

「ねぇ。カナコに嫌がらせされていること後で先生に言っておく。」

「いや大丈夫よ。自分で言いにいくわ。」

「本当に?なんか最近のカナコ色んなとこで貴女の陰口言ってるしほんとに心配だよ。」

七瀬は元々クラス内でも孤立していた。逆にカナコはクラスでも中心の人物だった為、カナコはクラス内で徐々に味方を付けていき、既に孤立していた七瀬をより孤立させようとしていた。

「私は大丈夫。それより周りを見て。私と絡んでいると貴女までいじめの対象になるわよ?」

久保はハッと周りを見渡すと周りの生徒達が二人を見てヒソヒソと話していた。

「ごめん。」

久保は自分の席に戻った。

(やはり、皆の前でいじめの証明をした方が…)

担任の先生が教室に入ってきて出欠席を行う。

周りの雰囲気を見るにカナコ側についている生徒は女子生徒はほぼ全て男子もカナコ達と仲良くしてる一軍はカナコサイドについている感じだ。

(テストが終わるまでの辛抱ね。)

出欠席が終わり1時間目の授業が始まる。50分後授業が終わったあと相澤マコトの教室に教科書を借りに行こうと教室を出た時、日比谷ハルが廊下で話しかけてきた。

「おはよう七瀬さん」

「なんの用?」

「そう警戒すんなよ。今大変なことになってるみたいだね。」

「…」

「B組の山本に僕から言っておこう。きっと君の役に立つだろう。」

山本一志それは、カナコと仲の良い一軍男子の1人で、そのグループの中でもボス格だ。山本を崩せばいじめを止めることは可能だろう。

「A組の貴方が随分とB組の内情に詳しいようね。」

「当然さ。」

「どうして私を助ける?」

「君のような頭の良い人間がゴミに潰されるのは僕としても迷惑だ。」(勝ち逃げできると思うなよ。お前は必ず俺が潰す)

「そう。」

「じゃあ失礼するよ。」

日比谷ハルはB組に入っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る