第2話会議

日比谷ハルが手を挙げ皆に話しかける。

「羽村の事は残念だったが、まずハッキリさせておきたいのは羽村が撃ち殺されたその瞬間、僕そしてマコトくんと七瀬さんもPQ組というヤクザに襲撃された。つまり、この一連のシビトによる事件の犯人はPQ組であることが分かった。今後はこのPQ組について調べてみないか?」

「確かに。あんな遠距離から銃を打ってくるやつがヤクザの1人って考えれば納得いくかも。」

とカナコが納得する。

(さりげなく、俺は犯人じゃありませんよ。っていうアピールをしているな。)

腕を組みながらマコトは日比谷ハルのことを見る。

「というか、今回日比谷くんは羽村くんが死ぬ前ずっと見張られて動けなかったし、同時刻に襲撃されているってことは犯人じゃないってことでいいんだよねぇ?」

サチエが日比谷の方を見て確認する。

(サチエほんとにこいつは…)

マコトと七瀬は内心呆れる。

「そうだね。それに僕ははじめからこの中に犯人なんかいないと思っていた」

そう言い終わる前に七瀬が被せて喋る。

「じゃあ、どうして、PQ組がこの学校の高校生を殺す必要があるのかしら。」

「それはわからないからこれから調べるつもりだよ。」

日比谷は真剣そうに答える。

「七瀬さん。まだこの中に犯人がいるっていうつもり?いい加減うざいんだけど。」

カナコが自分の爪をいじりながらそう吐き捨てる。

「そうよ。最初からずっと私達を疑ってきて結局犯人は違ったんでしょ?謝ってよ。」

サチエも乗っかって言ってくる。

それを聞き、七瀬はため息をつく。

「貴方たちの頭の出来には心底呆れるわ。PQ組が今回羽村くんを殺した奴の凶器から私の指紋が検出されたらしいわ。だけど同時刻に私は相澤くんと日比谷くんと一緒にいて、PQ組に襲撃された。どうして私の指紋が羽村くんを殺した凶器についてるのかしら。私は全く同じ時間に相澤くんと日比谷くんと一緒にいたのに。私の指紋を回収出来る人間なんて限られてくる。どうして、会ったこともないPQ組が私の指紋を持っていたのかしら?」

「なにそれ。そんな話今はじめて聞いたんだけど。」

「指紋なんかあんたの家を襲った時に回収すればいいじゃん。」サチエが突っ込むと、

「いいえ。あの時私の衣服は全て洗濯済だったし、壁とかも掃除していて、ましてや、私は普段からこの黒の革手袋を付けて生活している。あそこから指紋を回収するのは不可能よ。」

「じゃあどうやって指紋を取ったのよ!」

「1つ心当たりがある。それは奴らから逃げるため私たち3人はロープを使い下の部屋にベランダから飛びうつった。その際、手袋をつけていては滑ってしまうため手袋を外してしまった。その後捜査によると私が使ったロープの持ち手部分のガムテープがなくなっていたそうよ。これを誘導したのは紛れもない日比谷ハルあなたよ。」

七瀬はそう言い日比谷ハルの方を見る。

「確かにあの時ロープで逃げようと言ったのは僕だが、まさか奴らにそれを利用されるとは。」と日比谷ハルが呟く。

「私は貴方がPQ組と協力関係にあるんじゃないかと推測している。」

七瀬の発言に被せるようにカナコとサチエが反論する。

「さっきからあんたの推理は飛躍しすぎなんだよ。第1日比谷くんはあんた達を助けようとしただけじゃない。」

「でも結果的に私が疑われる要因となった。」

「うるさいわね。あんたさっきから自分が頭良くなったとでも勘違いしてるの?あんたはただのバカだから。」

カナコに怒鳴られ七瀬はため息をつく。

「残念だけど私は貴方達より成績はいいわ。カナコとサチエ貴方達の総合の点数を足しても私に届かないんじゃないかしら?」

それを聞き、サチエはニヤリと笑う。

「今私とカナコの点数を足してもあなたに勝てないって断言したわよね?」

「えぇ。言ったわ。」

「ふふっ。じゃあ再来週の定期考査で勝負しましょ?私とカナコの点数の合計と貴方の点数で。」

「恥をかくだけよ?」

「それはあなたでしょ?」

「じゃあ負けた方は勝った方の言うこと1つ聞くってことにしましょ。」

とカナコが提案する。

「いいわよ。」

七瀬がその提案を飲む。

「はぁ。なんだかただの喧嘩に発展しちゃったな。」

その様子を見てマコトがそう言うと律子も同意する。

「ね。まぁこの3人の決着を見届けましょ」

こうして七瀬とサチエとカナコは定期考査の点数で勝負をすることになった。

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