シーズン2第1話再生

七瀬の裁判が終わり、ようやく日常に戻っていく。

あの裁判から1日経ち、学校に3日ぶりに登校する。

「おはよう。マコトくん」

朝登校し、教室に入ろうとするマコトに七瀬が話しかける。

「あぁ。七瀬か。おはよう。」

「改めてお礼を言わせてもらうわ。ありがとう」

「あぁ。」

マコトはそう返事をした瞬間、その2人を遠目で観察している者が1人いる事に気づく。

「あ…」

その者の名前は律子。

律子に気づいたマコトはおーい。と手招きする。

律子は手招きされ、気まずそうにこちらに来る。

「なんだか久しぶりだね…」

「5日ぶりくらいか…確かに日数以上に久しぶりに感じる気がする。」

マコトがそのような感想を抱くのも無理は無い。実際、この5日間色々ありすぎた。

律子は気まずそうにしながらも、羽村の話題に触れる。

「私が近くについていたのに羽村くんを死なせてしまった。本当にごめんなさい。」

律子は深々とマコトと七瀬にお辞儀をする。

「貴方が気を病む必要は無いわ。あれは誰が付いていようが結果は変わらなかった。」

七瀬が律子を励ます。

「気を使ってくれてありがとう。でも、私はこの5日間ずっと考えていた。羽村くんを救う方法が何かあったんじゃないかって。私だけじゃない。カナコとサチエも今回の1件でかなり心に深い傷を負った。そして同時に新たな恐怖に苛まれるようになった。次殺されるのは私なんじゃないかって。」

律子は手のひらに爪を立て、歯を食いしばる。

「そうならない為にも一刻も早く、犯人を捕まえる必要があるわね。」

チャイムが学校中に鳴り響く。

「そろそろ時間ね。私は自分の教室に戻るわ。」

「あぁ。また。」

「えぇ。」

七瀬は自身の教室B組へと向かっていった。

「律子俺達も教室へ戻ろう。」

「うん…そうだね…」

2人はD組の教室へ戻る。

教室に入ると、教室はどこか騒がしい。

そのうちの男子の1人野澤が話しかけてきた。

「おい。マコトお前知ってるか?B組の羽村が死んだの。」

「?知っているけどどうしてその話を知ってるんだ?」

野澤とは坊主頭の男であり、普段はひょうきんな性格で、クラスからの人気もある生徒だ。

「もう学年中で話題になってるぜ。そこの律子そしてカナコとサチエって生徒の前で死んだんだろ?律子目の前で死んだってほんとか?」

律子はそれを聞かれ怯えたような顔になり、すぐさま自分の席まで走っていってしまった。」

「ありゃほんとうだな。」

野澤がそう呟く。

(野澤の言うことが間違いないなら恐らく羽村の事件はほぼ全て知られてるんだろう。だが、僕や七瀬の事

はしられてないみたいだな。良かった。不幸中の幸いと言ったところか。)

マコトは内心ホッとする。

その後、授業中にも度々生徒が先生に羽村の事について聞いていたが、先生は知らぬ存ぜぬで通すようだった。

一方同時刻A組では、物理の授業が行われていた。

日比谷ハルの席は窓側の1番後ろという、生徒が授業に集中していなくてもバレにくい席だ。その席で日比谷ハルは頬杖をつき、窓の外を眺めながら考え事にふけっていた。外は激しい雨が降っており、窓ガラスにたくさんの水滴がついていた。

(今回の事件、結果的に言えば羽村の事件に関与していた厄介な刑事を1人始末できたことやあのグループ内での僕のアリバイを作らせたことを考えればイーブンだが、本命の七瀬を始末する事は失敗に終わった。それに、相澤マコトと七瀬栞。あの2人は僕がシビトを利用し、殺人事件を何度も起こしてる犯人である事をほぼ確信している。表面的には僕が優位になった様に見えるが、実際は彼らが情報の面に置いて優位をとった。特に厄介なのは七瀬栞あのなえが七瀬に負けた。つまり、七瀬を殺害する為にはただでさえ頭脳で厄介なのに加え、戦闘力でも脅威になる。それに学校でもかなり騒ぎが出ている。ほとぼりが冷めるまでは大人しくしておいた方がいいだろう。)

場面は変わり、B組七瀬栞のクラスへ移る。B組は羽村が所属していたクラスの為、よりその騒ぎが大きかった。

幸い七瀬は窓際の1番前の為騒ぎによる被害は少なかったと言える。

七瀬も同様に頭の中で授業そっちのけで事件のことについて振り返っていた。

(湯木や和島の行動を見る限り、黒幕は好きな人間にシビトを付けることができるものだと思っていた。しかし、それならカラオケ店で私にシビトをつけ、あの女に武器を持たせ本気で私を殺しに来ていたはず。しかし、実際はシビトは私につかず、あの女も私からあくまでSDカードを奪うことを目的としていた。つまり、シビトをつけるには条件がいるはず。その条件を探ってみる必要がありそうね)

チャイムが鳴り1限目の授業が終了する。

「今日の授業はここまでだ。それと、羽村の事はもうこれ以上聞くな。以上だ。」

そう言い放ち先生は教室から出ていく。

しかし、それは逆効果だった。

クラスの話題は羽村の事でずっと続いていた。

授業が終わったあと久しぶりに会議室に相澤、七瀬、日比谷、カナコ、サチエ、律子で集まる。

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