第27話待ち伏せ
1日後再び3人で喫茶店に集まり、中にあったSDカードを桐生のパソコンを使って確認する。内容は、和島ゆかりが、11月15日の朝和島ゆかりの行動が映った映像だ。和島ゆかりは校舎の裏で待機して、落ちてきたガムテープを白い軍手をつけ回収してそれを学校から持ち出していたところだ。
「これで事件の流れは一致した。」
「次は私のアリバイを作ればいい訳ね」
「アリバイなら確か、僕達は、七瀬が新宿駅でPQ組の人間と交渉してたとされた時間ってカラオケをしていたよね?その時の店員を証人とすればいいよね?」
「急がないとまたあいつらに消される可能性があるぞ」
「でも確か、日比谷ハルはその日動けない状態だったから僕たちがカラオケ行ったのは知らないんじゃないかな?」
「他に協力者が私たちをつけてた可能性がある以上、確実に安全とは言いきれないわ。急いだ方がいいわ。」
「和島が証拠隠滅を図りましたが失敗に終わりました。相澤も七瀬も生きてます。」
湯木は日比谷ハルに報告するため、新宿の高層マンションの一室に来ていた。
ここはPQ組の本拠地であり、日比谷ハルはその一室に匿ってもらっている。
日比谷ハルはコーヒー飲みながらその報告を聞き、
「まぁこんな雑な策であいつらを倒せると思っていない。」
シビトを好きに誰かに付けさせることができるその能力を持った日比谷ハルはPQ組から丁寧に扱われている。実際その死体処理能力はヤクザであるPQ組にとって喉から手が出る程欲しい能力だった。
日比谷ハルのこれ程の高待遇はシビトの能力を買われてのことだがそれ以上に日比谷ハルの頭脳は遺憾無く組織内でも発揮していた。
「白川から聞いた。七瀬のアリバイを証明できる人間がいる。このカラオケ店の店員そして店の監視カメラを消す。頼んだよ」
「わかりました。」
湯木はすぐさま退室をする。
実は相澤達がカラオケ店に居た際白川はその様子をしっかりと確認していた。相澤達を接客していた店員そして監視カメラを消すべく動き出す
一方その頃マコト七瀬桐生の3人は例のカラオケ店にいた。
マコトは店内に入り、店員に話しかける。
「すいません。」
「はい。何名様ですか?」
「いえ、この店を利用しに来たんじゃなくて聞きたいことがあって」
「はい…」
店員の顔が困惑する。無理もないだろう。
マコトは事情を説明した。
「なるほどつまり、11月13日の金曜日の18時頃の監視カメラと店員の確認ですね。確認します。」
「よろしくお願いします。」
店員はシフト表を見て確認する。
「その日担当していたのは高島さんですね。」
「その人は次いつここに来るんですか?」
「後1時間後に来ますよ。」
「ありがとうございます。」
「高島に言っておきます。監視カメラは確認するのに時間が掛かるので、店が終わってからでお願いします。」
そう店員は頭を下げマコトもわかりました。と言い頭を下げた。
マコトが店から出て入口で待っていた2人と合流する。
マコトは2人に状況を説明する。
「まずいな。1時間後か。奴らが襲撃してくるには充分時間がある。」
「えぇ。そうねそれに、問題は高島が殺されることだけじゃないわ。店には監視カメラがあったはず。その監視カメラは私のアリバイを証明する重要な証拠つまり、奴らの狙いは高島殺害と同時に店の監視カメラを破壊することにある。つまり、店を襲撃してくる可能性が高い。」
「となると、やはり俺たちが迎撃するしかないな。」
桐生が胸元にある拳銃をちらりと見せる。
「正気か?ここは街中だぞ?そんなものを使ったらあんたとはいえ、重罪だ。」
「最悪の場合だ。また奴らが自爆するかもしれないだろ?」
「2人ともそもそも今回殺害の実行犯になる可能性が高いのは誰だと思う?」
七瀬がそう呟く。
「湯木かな?」
マコトがそう聞くと
七瀬はえぇと頷く。
桐生はそれを聞き、
「なぜ湯木なんだ?鉄砲玉として下っ端が来る可能性もあるだろう。」
七瀬はそれに対して否定する。
「いいえ。それなら昨日の学校襲撃もわざわざ実行犯の1人である和島にやらせずに、鉄砲玉を使うはず。もし昨日のように自爆前提の作戦ならわざわざ組織の下っ端とはいえ、自ら死ぬのが確定する作戦誰もやりたがらないわ。となれば、この自爆に近い作戦をやらせることが出来るのは今回作戦に加担した湯木よ。」
「瀬田の可能性もあるんじゃないのか?」
桐生が質問すると、
マコトがその可能性は無いと否定する。
「どうしてだ?」
「瀬田は今回の事件の計画のためではなく元々702号室に住んでいたんじゃないかな?和島が1年前から瀬田が住んでいたと言っていた。つまり、この事件を起こすために引っ越してきた訳じゃなくて元々ここの住民だったことが推測できる。湯木は七瀬と同じ階にエレベーターを止めるには8階に誰かを住ませないといけなかった。そういう意味で今回の事件にガッツリ加担しているのは2週間前に引っ越してきた湯木だと推測できるってことじゃないかな?」
「えぇ。彼女は湯木と瀬田は面識がないと言った。同じ組織にいるなら面識がないのはおかしいわ。なら考えられるのは湯木はPQ組だけれど、瀬田はその日部屋を空けておいてくれとでも言われたのでしようね。」
「なるほどな。確かにそうだ。そこまで頭が回らなかったよ。」
桐生が納得する。
「つまり、湯木を見つけ次第速攻奴を倒す」
マコトと七瀬はそれを聞き頷く。
それと同時に遠目から1人湯木らしき人物が歩いてくるのが見えた。
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