第26話差し金
桐生は校長の首筋に指を当てる。
「残念だが、既に息を引き取ってる。」
七瀬が「警察は呼ばないの?」
と質問をする。
「警察を呼ぶのは僕達がこいつを尋問してからだ。」
とマコトが答える。
「さて、和島さん貴方は、11月15日朝8時から10時までここの清掃を担当していましたよね?その間に今回のマンションでの襲撃事件が関わってますよね?」
和島は沈黙する
しかしマコトは続けて
「もう貴方は殺人の現行犯です。もう黙る必要はないですよ?」
しかし、和島はそれでも沈黙を貫く。見かねた桐生が
間に入ってくる。
「俺は刑事だ。ここで洗いざらい話せばお前が減刑出来るように根回ししてやるよ。」
「それは本当なの?」
和島は少し食い気味に聞いてくる。
「お前が正しい情報を話せばな。どうせ後からわかるんだ。もし、嘘をつけばお前の罪が重くなるように全力を尽くす。」
少し気圧されながらもわかったわよ。と頷く。
「私は2週間前に二人の男がエントランスで私に話しかけてきた。湯木と瀬田って男。その2人は私がこの学校の清掃員をやってるのを知ってて話しかけてきたみたいで、ある頼み事をしてきた。それは事件が起こったあの日ガムテープをマンションの上から校庭に落とすからそれを回収した。そして、その後勤務をすぐ終わらせ、タクシーに乗り、包囲網から脱出して奴らにそれを渡した。」
「どうしてそれを引き受けたの?殺人に関与するってわかってたんじゃないの?」
七瀬が質問すると
「自分が殺人に加担するなんて分かってたわよ。でも私は借金を沢山抱えていたの。それを給料の安い清掃員で返済しきらないといけない。こんなんじゃこの先どうすればいいのか分からない。そんな時にこの話が来たの」
「だとしてもあんた、なんでこんな大胆な証拠隠滅を図ったんだ?」
とマコトが聞く。
「脅されたのよ。奴らから。従わなければ殺すってね」
「その奴らってのは湯木と瀬田か?誰だそれは?」
マコトが聞こうとした瞬間
「あれマコトと栞じゃん久しぶりだね!」
壁から通り抜けてシビトが入ってくる。
「シビト…どうしてここに。」
七瀬が困惑すると和島が
「嘘!どうしていや!」
と狂乱する。
桐生がおいどうした?と押さえつけようとした瞬間、マコトは和島にシビトが付いていることに気づく。つまり、和島は消される。
「七瀬!桐生さん!早くここから出て!」
マコトはそう叫ぶ。それを聞いた桐生と七瀬はすぐさま校長室から出ると同時に和島の首につけてたネックレスが爆発する。
凄まじい音と煙を上げ、校長室のドアのガラスが割れる。破片がマコトの目の前を通り壁につきささった。
「あと一歩遅ければ死んでいた…」
七瀬は顔をしかめながら言う。
「助かった。相澤ありがとう。」
桐生もお礼を言う。
「今シビトがいました」
「なに?」
「桐生さんには見えてなかったけれど確かにいたわ」
「私たちを消すための黒幕の差し金かしら」
(今のは本当に危なかった1歩でも遅れれば死んでいた。)
「そうだSDカードは?」
「ちゃんとここにある。だが、重要な証人は消されてしまったがな」
桐生が少しうつむく
「証拠さえあれば問題ないわ。ひとまず警察を呼び今日は解散としましょう。」
桐生もマコトも了承し、程なくして警察が到着する。
その日は警察に事件現場で軽い状況説明をして3人は解散した。
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