第23話現場調査

現場に到着した2人はまず七瀬の部屋から調べる。

七瀬の部屋はドアがチェンソーで破壊されており部屋の中も僕たちがいた時に比べ荒らされていた。部屋には凶器であるチェンソーも捨てられていた。かなり部屋の中を色々漁った形跡があった。

クローゼットは特に漁られていた。

特に気になったのは

「黒い革手袋が沢山落ちてますね」

「あぁ。恐らく奴らが付けてたんだろうこれらの手袋には七瀬の部屋の物特に服とかの繊維が付着している。奴らが逃走する時に警察はまず包囲網を作った。そこを突破するには荷物検査を受けなきゃならない。その時に怪しい物は詳しく検査される。特に集団で皆黒い手袋をしていたら確実にな。その時に繊維でも出てくりゃアウトだ。だから捨てたんだろうな。」

「つまりこの捨てた黒い革手袋から自分の指紋を取られぬように、二重に革手袋をつけていて、繊維の着いた表側の手袋をここに捨てて言ったってことですね。」

「あぁそうだ。おそらく、つけてた革手袋は黒以外の色だったんだろうな。」

「その包囲網は何を基準で犯人かどうか判別しようとしていたんです?」

「そうだな。まず、犯人は全員スーツ姿の男で黒い手袋をした4人組だと七瀬の通報で言われた。だから、スーツ姿の男で黒い手袋をつけていた奴は必ず止めるようにしていた。他にも念の為手袋をしたスーツ男とかは必ず確認した。」

(そうか。七瀬がロープで飛び移る直前チラッとドアの方を見ていたのは犯人たちの姿を確認するためだったのか。結構弱々しい状態だったから頭が回ってないのかと思っていたけど、ちゃんと見てたんだな。)

「凶器のチェンソーは工事用の奴だな誰でも手に入れられる。」

「まぁ当然凶器は捨てていきますよね。それよりも、部屋を漁った形跡があるんですけど何をこんなに探していたんですかね?」

「なんだろうな。ただ、お前の憶測通りなら七瀬の指紋を探していたとか?」

「確かに。でも結局何か持ち漁った所で包囲網でチェックされる。七瀬の物ならば1発でバレるんじゃないですか?」

「あぁ。実際奴ら4人組のうち2人はカーチェイスで逮捕。もう2人はその包囲網で七瀬の服を持っていたのがバレてそのままそこで逮捕された。」

(つまり、七瀬の指紋は結局手に入れられなかったってことか…)

「そんなところだな。後もう1つの現場に行くか。」

川崎はそういい、702号室に向かう。マコトもついて行く。

702号室につくとベランダの窓が割られていた所以外は一見普通の部屋だった。

「こっちは特になんもねぇな」

「そうですね…あ」

マコトは先程七瀬の部屋でも見た黒い革手袋を発見する。

「これって…」

「あぁ。さっきもあった黒の革手袋同じ種類のやつだ。どうしてこんなところに」

「ここに入ったのは僕たち3人と部屋の住民だけですよね?」

「あぁ。警察は現場を荒らしていないから確実のその4人の誰かのだな。」

「確か七瀬って女は俺が公園でお前らを事情聴取した時にも黒い手袋つけてなかったか?」

「七瀬はいつもつけてるんですよ」

「その女が落としたんじゃねぇのか?」

「いえ、そんなはずは…」

真相は分からない。この手袋は一体誰のなんだ?

マコトはベランダに出る。

「あそこからここまでロープで飛びうつってきたんだよな?」

「はい。」

「よくやるよな。すげぇな。」

「ありがとうございます。」

そんなやり取りをしながらベランダを見渡す。日比谷ハルが蹴って割った窓ガラスの破片が飛び散っている。それとロープが3本柵にひっかかって垂れ下がっている。これも僕たちが当時の状況と何も変化なしだ。

「あれ?」

マコトはロープの方をよくよく見ると、三本のロープのうち1本のロープの持ち手のガムテープが剥がされている事に気がついた。

「ここだけガムテープがなくなっている。」

「なんだ?誰かがとっていったのか?なんのために?」

マコトは何となく今回の事件の流れを理解した。

「なんだなんかわかったのか?」

「い、いえ。」

川崎には黙っていることにした。全ては裁判の時に明かそう。

「それよりここの住民に会うことって出来ますかね?」

「なんで会いたいんだ?」

「聞きたいことがあるので。」

「分かった今度取り合ってみるよ。」

「ありがとうございます。」

そんなやり取りをして、今日は解散となった。

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