第22話PQ事件

マコトと川崎は七瀬が連れていかれてから公園で話していた。

「七瀬は3日前11月13日の夕方から夜過ぎまで3時間池袋のカラオケ店で僕達と過ごしていた。アリバイがある。仮に監視カメラの映像が偽物だとしたら?」

「新宿駅西口の監視カメラの内容をでっち上げるのは不可能だ。あの映像は間違いなく本物だ。それを裏付けることとして、映像にうつっていた指紋の着けた契約書が捕まえたPQ組が吐いた居場所にあった。それに、捕まえたPQ組も七瀬だと名乗っていたと言っている。」

「いえ、僕が言いたいのはその七瀬と思われる人物が偽物であった可能性です。」

「指紋の件はどうするつもりだ。」

「僕はその指紋が新宿駅西口で付けられた指紋ではなく後々、何らかの方法で七瀬の指紋を入手して、うつしたと考えています。」

「PQ組はどう説明する?」

「PQ組は確か有名なヤクザですよね?そこの下っ端構成員が今回捕まった。仮に新宿駅西口で取り引きしてた男が本物のPQ組だとして、その男は捕まっていないんですよね?そいつの下っ端が七瀬を犯人だと証言するためにあえて、捕まった。ってのはどうです?」

「所詮お前の憶測だ。それより別の角度から事件を見てみたいんだ。お前の当時の状況を説明してくれ。」

川崎に頼まれたマコトは今回の事件の一連の流れを説明する。

まず11月13日金曜日の夕方5時半頃に新宿駅西口で七瀬栞と思われる人物がPQ組の人間と日比谷ハルを殺害するように依頼しているところがうつっていた。

その時に指紋つきの契約書を交わした。

次に事件が起こった11月15日日曜日の朝8時にマコトは日比谷ハルの家に行きその後2人で七瀬栞の家に着いた。七瀬栞のマンションはオートロックであり、更に鍵がなければ、その階にエレベーターが止まることがない。階段も無いため、本当にその階の住民でなければとまることはできない。

ちなみに七瀬栞のマンションは8階である。その後朝8時半頃、805号室の七瀬の部屋が、PQ組の構成員に襲撃される。ドアがチェンソーで破壊され入ってきそうなところを日比谷ハルが用意していた3つのロープにそれぞれ石を巻き付け持ち手の部分に手が傷つかないようにガムテープを巻き付けた物を日比谷ハルが左側の1階下の702号室のベランダに石を投げ柵に引っかかり3人ともロープに掴みながら飛びうつった。その後3人は部屋の住民にバレないように窓を割り、部屋を出ていき7階のフロアの廊下で待機していたところ、702号室の住民が部屋に入っていった。その後警察が到着し、七瀬の部屋805号室と702号室の部屋を封鎖した。僕たち3人は近くの公園で川崎から事情聴取を受けた。

「まぁ。大体俺も上からそう聞いている。日比谷ハルって奴が状況を話してくれていたらしいしな。」

「そうなんですか。それなら話が早い。」

「まず今の話を聞いて真っ先に謎に思ったのはどうして、襲撃してきたヤツらは七瀬の部屋のある8階に入ってこれたんだ?確か鍵がなきゃ止まらねぇって話だろ。」

「確か最近、8階に引っ越してきた人がいたらしいんですよ。その人がもし、PQ組の人間だとしたら、PQ組が鍵を持っていることになる。つまりあの8階のフロアに行くことは可能だったと思うんです。」

「確かにそれなら筋が通るな。」

「それと同時刻に僕の同級生が殺されたそうです。」

「あぁ、らしいな。確かお前らの話によるとそのシビトってのが死体を片付けちまうんだって?」

「はい。恐らく今回の僕たちを襲撃した事件とその事件いや、高校生連続失踪事件は全部繋がっていると考えています。僕の予想では日比谷ハルが、アリバイを作る為、そして、七瀬を潰す為に今回の事件と羽村の事件が同時に起こったと思っています。」

「なんだか話が飛躍してきたぞ」

「まぁそれは置いといて一旦は今回のPQ事件を解決しないと。」

ピピピ

川崎の携帯が鳴る。

「はい。あぁ。わかった。」

「良かったな相澤。お前今回の事件現場を見ることが出来るようになったそうだ。」

「本当ですか?それなら良かった。」

(事件現場には必ず何か残っているはず…)

マコトと川崎は事件現場に向かう。

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