第21話取り調べ

「もう証拠は出てんだよ!てめぇがやったんだろ!」

七瀬は取り調べ室に入ってから1時間が既に経過していた。取り調べの刑事は2人いる。

1人は容疑者に対して、きつく当たる者もう1人は容疑者に対して優しく当たる者と役割が別れている。

「七瀬ちゃんが何もしてないってことを証明するためにいくつか質問をしてもいいかい?」

七瀬は無言を貫いている。

取り調べは基本的に何個かの質問を行う。しかし、これこそが最大の罠であり、最終的に質問をYESとNOどちらを答えても自白したと取れるような質問になっている。実際過去にアメリカで近所の家で殺人事件が起きその近くに住んでいた男性が容疑者として逮捕された。その男は警察官の取り調べに一切応じず弁護士を呼ぶように要求することしかしなかった。取り調べはある一定の時間を過ぎると解放される為それまで全く応じなかったことにより無罪を勝ち取った事件がある。

優しい対応をする警察官が七瀬に優しく接してる最中に厳しい警察官は1度席を外す。

しばらくして、取り調べ室に入ってきたのは厳しい警察官ではなく、新たな3人目の男が入ってきた。

身長が高くイケメンでホストをやってそうな男だ。

「もういい。お前は戻れ。」

「は、はい。」

その男が優しい警察官に命令する。

優しい警察官はそれに従い部屋を出ていく。

「七瀬栞だな?もう取り調べは終わりだ。ここからは俺個人で調査したいことがある。」

「なんですか?」

「実は、この事件が起きたと同時に通報があってね。羽村という男がスナイパーライフルで頭をぶちぬかれた後に死体が目の前で消えたと。その同級生から。そして、どうやらそいつらとお前は同じ学校のようじゃないか?更にその学校では既に何人も失踪しているらしい。恐らく羽村の事件もそれと同じ犯人にやられたと認識している。」

「警察にも頭のキレる人間がいたんですね。」

「馬鹿じゃ上にはあがっていけねぇんだよ。」

「それで私に何を聞きたいんですか?」

「死体が突然目の前から消えるなんて馬鹿馬鹿しくて誰も信じねぇよな?だが仮にそれが本当だとしたら、それ人間の力を超えている。犯人がそんな力を持っているならこんだけ失踪してるのに未だに捕まらねぇのも納得が行く。お前は何か知っているだろ?」

七瀬の表情が険しくなる。

「さっきの馬鹿どものせいでの俺の信用も落ちてるみたいだな。じゃあ、交換条件にしよう。川崎から聞いた。お前には信用できる奴が1人いるらしいな。だが、そいつが今回の事件を解決するには情報を集める必要がある。ただ、そいつだけの力じゃ到底集めきれねぇ。そいつが情報を集めれるように俺が根回ししてやる。それならいいだろ?」

「…ええ。確かに。事件現場だったり、マンションの住民やPQ組到底1高校生だけでは集めきれない情報もあるわね。」

「そうか理解が早くて助かるよ。そういや名前をまだ名乗ってなかったな。俺の名前は桐生だ。」

そう言って桐生は名刺を渡してきた。

七瀬はその後今までの事を全て話した。

「なるほどな。良い情報だ。ちなみにそのシビトというのは今お前の近くにいるのか?」

「いいえ、奴らに襲撃されて以降姿をあらわしていないわ」

「ならもうお前は殺しの対象から外れた訳だ。まぁ今の話を聞く感じ厄介なお前を檻に入れつつ、同時に殺人を起こすことで今回の被害者である日比谷ハルはアリバイを作ることができる。そいつの狙いとしてはそんなところだろう。」

「日比谷ハルを捕まえる為には今回の事件の解決と日比谷ハルの協力者を捕まえることが必要なこと。その協力者が羽村君や相澤君を襲ったと考えている。」

「まぁまずはお前が身の潔白を証明するところからだ。」

「えぇ。」

「俺はこれで失礼するよ。お前も裁判まで少しの間は自由に動けるはずだ。せいぜい頑張れよ。」

桐生が部屋を出ていく。

七瀬も後に続き取り調べ室を後にした。

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