第19話襲撃
七瀬宅が襲撃を受けた同時刻、
カナコとサチエ律子の三人は羽村の家に向かっていった。
「はぁ、休日になんでこんなことしなきゃならないの。」
サチエがブツブツ文句を言いながら歩いてる。
「羽村君がそれで殺されたらどう責任取るの?」
律子が反論する。
「いやいや、ぶっちゃけただのオカルトでしょシビトって。」
サチエはあまり信用していないようだ。
羽村の家は住宅街の中にあり、自転車で20分ぐらいの所には小さな山がある。
「だいたいこんな田舎になんで来なきゃならないの?」
「人の命に比べたら安いものでしょ?あかりのことを忘れたの?」
「2人とも喧嘩はやめて!」
カナコが仲裁に入る。
3人の空気は最悪だ。
それからしばらく無言のまま歩き、羽村の家に到着する。
ピーンポーン
羽村が家から出てくる。
「悪いな。休日にこんな所にこさせちまってよ。」
「別に気にしてないよ羽村君。じゃあ、安全な場所に移動しよっか?」
律子が言い、羽村を安全な場所に移動させようとした瞬間、
羽村の頭が吹っ飛ぶ。
「え?」
3人とも一瞬何が起きてるのか理解が追いつかなかった。
羽村は頭を貫かれ、横たわっている。
カナコ悲痛な叫びが耳に響き渡る。
その数百メートル先小さな山の上で、
2人の女が会話をしている。
「なえ、射撃上手いね。」
「手先が器用なことが取り柄ですから!」
なえが山の上からスナイパーライフルで数百メートル先の羽村の頭を撃ち抜いたのだ。
「狙うなら休日。ハルの計画通りだね!」
「えぇ。休日の日曜日なら、安全な場所に移そうと必ず家から出る瞬間がある。そこを狙う。向こうも上手くいってるといいけど。」
「ハルならきっとうまくやっているよ!」
白川となえがすぐさま片付け、撤収する。
「2人とも早くベランダに出て!」
七瀬が大声で2人にそう告げると、2人とも直ぐに何が起きたかを察した。
日比谷ハルはすぐさまロープとガムテープを取り出す。
そして、大きな石をロープで巻き、持ち手のロープ部分をガムテープで巻く。すぐさま七瀬の階の一個下のベランダに向けて投げつけた。大きな石はベランダの柵に引っかかった。これを三人分用意した。
「こんなことがあろうと、脱出の道具をよういしてたんだ。早く2人ともこのロープで下に降りてくれ。」
「あぁ。ありがとう!」
七瀬はチラッとドアの方を見ると、チェンソーでドアが切り刻まれ奴らが入ってきていた。
(!?このロープを手袋越しに持つと下に降りる際に滑って落ちるかもしれないわ。)
七瀬は黒の革手袋をポケットに入れる。そして、
3人はすぐさま、ロープを使い下の階層のベランダに移った。
「はぁはぁ。確か、鍵が無いと、他の階に止まれないんだっけ?ならあいつらはおって来れない。」
日比谷ハルは息を切らしながら言う。
「まさかこんな強硬手段で殺しにくるとは。」
七瀬が顔をしかめていう。
「2人とも怪我は無い?」
マコトが聞き2人は頷く。
「よかった。それにしても、ここ誰か人は居ないのかな?」
ベランダの窓から部屋を覗く。
「致し方ない。」
そういい、日比谷ハルは思いっきり蹴り窓を蹴破った。
「大丈夫。幸い人は居ない。とっとと、ここから逃げよう。」
日比谷ハルに促され2人とも日比谷ハルの後に続く。
マコトはすぐさま2人から距離を取り聞こえない位置でポケットに入れてあった携帯で警察に連絡をする。
そして、連絡したあと帰ってきて
「日比谷ハル。これも全部計画通りか?」
七瀬が日比谷に問う。
「もし、僕が今回のことを引き起こしていたのなら、あそこで、君たちと脱出せずに奴らに君らを殺させていたよ。」
部屋に不法侵入していたことをバレたくなかったからか、3人とも自然と部屋からは出ていた。その部屋の住民は僕たち3人が出た数分後に男の人が部屋に入っていった。
「部屋の人に申し訳なかったな。それよりも、七瀬このマンションは鍵を持ってないとその階層には止まれなかったんじゃないのか?」
マコトが疑問に思う。
「…今はまださっきの事で頭の整理ができてない。」
七瀬は弱々しく返答をする。
あんな風に襲撃されたのは人生で初めてだ。
咄嗟にベランダからロープをつかみ飛び降りたのも本当に死にかけた。
全く頭が回らないのは全員同じなようだ。
「そういえばシビトはどこに行ったんだ?さっきまであの部屋にはいたけど。僕たちに着いては来なかったよね?」
「えぇ。シビトは必ずついてるものの近くにいるはず。羽村の方に行ったのかしら?」
「でもさっきまで七瀬に着いていたのにどうして急に居なくなるんだ?それこそ、シビトは死体の処理もしているはずだから死にかけの僕らの近くには必ず居ないといけない…あ…」
そこまで言ってマコトは気がついた。
七瀬と日比谷もマコトの表情を見て気がつく。
死にかけの七瀬から離れることなんて余程緊急の事出なければならない。となると、羽村の方に行った理由はひとつ。羽村が死んだ為その死体の処理に行った…
しばらくして、警察が到着した。犯人達は逃走しており、七瀬の部屋と僕たちが逃げ込んだ部屋は警察が囲い込むこととなった。
マンションの付近の公園で3人は刑事に軽い事情聴取を受ける。
刑事の名前は川崎掴(つかむ)
「今お前らを襲った犯人達はあの後車に乗り逃げている。警察はその車を既に発見しておりカーチェイス中だ。捕まるのは時間の問題だろうな。」
「そうですか。なら良かったです。」
「んで、お前らなんか犯人に心当たりはあるか?」
「いえ、何も。」
「そうか…なら七瀬お前の親とかを狙っていたのかもな。」
「どうして私の親になるんです。」
「だってお前ら高校生のガキがアイツらに命狙われることなんて相当の事じゃない限りまずねぇ。ってなればお前の親が狙われたってことなんじゃねぇか?」
「適当なこと言わないでください。」
そんな会話をしていると犯人が捕まった。と連絡が入ってきた。
「ととっそんじゃこんなところだな。まぁお前らも気をつけろよ。今の世の中物騒になってきてるからよ。」
そんな軽口を叩きながら川崎は去っていった。
「どうして、シビトや僕のことを言わなかったんだい?」
「どうせ言ったところで信用されないでしょ?」
「それもそうだね…」
2人がそんな会話をしているところマコトは律子と連絡をとっていた。やはり、羽村は死んでおり、死んだ後すぐに死体が消えたとの事だった。
「とりあえずこの後どうする?」
マコトが2人に聞く。
「僕は1度家に帰らせてもらうよ。今回のことで完全に僕が白であることは証明されたし、なにより君たちといると僕も巻き込まれそうでね。」
「私は家に入れないし、そうだ…マコトくん、家に泊まらせてよ。」
「僕の家?まぁいいけど、また奴らがいつ狙ってくるか分からないしね。」
マコトと七瀬は2人で自分の家に向かった。
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