第18話操り人形

三人で帰路についてる最中にこんな話をする。

「明日、私の家に二人とも来ること。マコトくんは日比谷の家に迎えに行き、二人で私の家に来ること。」

相澤は違和感を感じる。

「ん?どういうこと?七瀬も一緒に迎えに来ればいいじゃないか?」

「残念ながらそうもいかないわ。」

「私は昨日電車で帰ってる最中に気づいたけど、シビトにつかれている。」

「なに?」

「あれ?気づいてなかったの?」

シビトが不思議そうにマコトを見つめる。

「私は極力自分の家から出ないようにする必要がある。幸い私の家はマコト君のいえと違ってオートロックのマンションに鍵を持ってないとエレベーターが私の階に止まらないようになっているの。だから家の中は安全ってことよ。」

「それならば、尚更僕と一緒にいる理由がわからないな。僕が怪しいのならば何故自分が危険な時に犯人候補の僕を近くに置く?」

「相澤君が近くにいるから貴方は私を殺せないはず。」

「なるほどな。僕を七瀬の家で動けない状態にしておけば、羽村の方が安全になるって訳か。」

「協力者の存在がいる以上、確実に安全とは言えないわ。カナコにサチエ、律子は羽村の家に向かわせ、安全な場所へ移動させる。最悪協力者のみなら、出し抜ける。」

七瀬は自信満々に言う。

(…フッやはり、七瀬にシビトを付ければ、七瀬は当然自分の身を案じて、安全な家に籠る。そして、休日ともなれば当然自分自身で僕を監視したいと思うはずだ。そうなれば、僕は必然的に七瀬の家に入ることが出来る。)

「分かった。」

マコトは頷き、明日の朝の動きを把握した。

マコトはハルの家に行きハルを迎え一緒に七瀬の家で待機する。

律子カナコサチエの三人は羽村の家に行き、羽村を安全な場所に移動させる。

明日の作戦はこうなった。

日比谷ハルは必死に笑いをこらえる。

(まるでこいつらは、操り人形のようだ。こんなにも僕の思惑通りに動くなんて。正直言ってがっかりだよ。)

11月15日早朝

相澤マコトは日比谷ハルの家に迎えに行き、共に七瀬の家に向かう。

七瀬のマンションに着き、七瀬が降りてきてオートロックを開けてもらい、鍵を使い、七瀬の部屋番号のある8階にとまる。

「あれブルーシート引いてあるってことはここの階層部屋に誰か最近引っ越してきたのかな?」

七瀬の部屋のある8階にはいくつか部屋がある。

「えぇ。最近一人引っ越してきたわ。まだあったことは無いけど。」

「さて、ここの部屋よ。」

七瀬の部屋、805号室に3人で入る。

「ここで一日中待機することが私たちのすること。」

「なんだか、退屈だなぁ。」

マコトが少し気を落とす。

それから一時間後

シーンと静まり返っていた部屋の中で急に静寂を突き破る。

七瀬の家のドアが乱雑に叩かれる。

「ん?何事?」

七瀬がちらっと外をドアスコープで覗くとスーツ姿の男数人がドアを破壊しようとしている。

「2人とも!早くベランダに避難して!」

七瀬がそう叫んだ。

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