第14話解決
「その方法は爆弾を冷凍させることよ。」
七瀬が説明をし始める。
「よくある方法よ。爆弾は液体窒素で冷却すると、動かなくなる。そうすれば、爆弾を解除することが出来る。」
それを聞き、シビトが反論する。
「爆弾には対冷却システムがあるんじゃないの?液体窒素で凍らせても無駄でしょ。」
「いいえ、対冷却システムのある爆弾は軍隊でもない限り手に入らない。犯人は高校生。なら、そんな高価な爆弾を手に入れることは不可能よ。恐らく、自作の爆弾だから、簡単に無力化できるわ。」
七瀬はそう言うと作戦の概要を説明し始める。
「まず、ドア前に爆弾が設置されてる可能性が最も高い。このドア前の爆弾を解除するために、液体窒素で無力化して、部屋に入り、その後は部屋全体を冷却して、爆弾を取り除く。」
「わかった。液体窒素は多分学校の理科室にあるよな。」
僕がそう言うと、シビトの方を向き、
「理科室から液体窒素を取ってきてくれたらクレープを二つ買ってあげるよ。」
と条件を提示した。
「ほんとに?ならいいよ。」
シビトは二つ返事ですぐに液体窒素を取りに行った。
しばらくして、シビトが大量の液体窒素を大きな袋にいっぱい詰め込んで持ってくる。
「これだけあれば大丈夫ね。」
七瀬は液体窒素をドアの前に置きしばらく待つ。
そして、その後ドアを開ける。
すると、七瀬の予想通り、ドアには爆弾が仕掛けられていた。七瀬はすぐに液体窒素で爆弾を包み込む。
次に、部屋全体に液体窒素をぶちまける。
部屋の温度を下げるためにドアを閉じて密室にする。
そして、しばらく経ってから三人で爆弾の場所を探した。
結果、相澤マコトの机に爆弾が見つかる。
「よし。これで全部の爆弾を無力化できたな。」
僕がようやく一息をつく。
「シビトの契約は終わりだよ。君は生き残った。」
シビトがそう言ってきた。
僕は七瀬にもそのことを伝えると七瀬も胸を撫で下ろした。
「じゃあ、僕はこれで。この後僕の姿は見えたままだけど、鬱陶しくなったら僕を視界から完全に消すことができるよ。その代わりもう一度憑かれるまで二度と見ることが出来ないけどね。」
シビトがそう言った瞬間僕の頭の中で屋上の時の作戦が何故上手くいかなかったのか理解した。
「七瀬、屋上の陽動作戦が失敗した理由がわかったよ。」
「なに?」
「シビトを一度見えるようになったのを自分の任意で視界から消せるって今シビトから説明された。つまり、あの時犯人は、視界から消していたからあの作戦が効かなかったんだ。」
「なるほど。」
「犯人はまたすぐに私たちを殺しに来るわ。気は抜けないわ。」
「この爆弾をどこから入手したか調べられないか?そこから犯人へ辿る糸口が掴めるかも」
「いいわね。その爆弾は私が預かっておくわ。それにについて調べておくわ。」
一方その頃日比谷ハルは…
(正直見くびっていたよ。相澤マコトに七瀬栞。恐らく、あの様子じゃ、爆弾で殺すことは出来ないだろう。そうなれば、僕が屋上で使ったシビトのトリックがバレ一気に僕への疑いが濃くなる。今回はあの二人に一本取られた。ただ、僕が犯人だと確信したところでどうそれを証明する…それを探している間に潰してやる…七瀬栞…お前は邪魔すぎる。はっきりいって相澤より七瀬の方が厄介だ。あの女必ず消してやる…)
日比谷ハルは帰りの電車に揺られながら七瀬栞を消す為に動くことを決意する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます