第13話口喧嘩

渋々僕と七瀬は今までの状況を説明した。

(これでいい…仮に爆弾で相澤マコトを殺せようが殺せまいが俺のアリバイは作れた。こいつらの犯人候補から僕を消せる。今回の目的は、上手く行けば相澤マコトの殺害、それに加え僕のアリバイを作り犯人候補から外れ現在どこまで情報を掴んでいるかを知ることだ。)

日比谷ハルの計画通りに事が進んでいく。

「ハルさんはシビトについて聞いても何も驚かないようで。」

七瀬は痛いところをつく。

確かにほかの皆は半信半疑の者や驚いている者がいる中、日比谷ハルだけは全く動じていなかった。

「実はマコトくんとタケシくんが騒いでいたのを聞いていてね。僕だってそんなものの存在があるなんて到底信じられなかったが、行方不明者がこれだけ出て、未だに誰一人として見つからないなんて、超常現象でも無いと説明つかないよ。」

ハルはそう切り返す。

七瀬は不機嫌そうに日比谷ハルを睨む。

「まぁまぁ、二人とも喧嘩しないで」

僕はそれをなだめていると、

律子が質問をしてくる。

「でもマコトまずいんじゃないの?今の話が本当ならもうすぐ死ぬんじゃ…」

「それについては大丈夫。もう手を打っている。」

僕がきっぱり言うと、

「随分な自信だねマコトくん。」

日比谷ハルはまるで僕を嘲笑っているかのように見てくる。

僕は日比谷ハルの表情や先程の言動からかなり犯人の可能性が高くなったと感じた。

「心配しなくても問題はないよ。」

大丈夫なはずだ。帰る時もかなり警戒しているし。トラップもある。問題ないはずだ。

「早く帰った方がいいんじゃないの?」

律子に心配され、

「そうだな。僕は帰るよ。」

そう言って席を立ち上がり、帰る支度をする。

「僕が一緒に帰ろうか?」

日比谷ハルがそう言ってくる。

七瀬はそれを聞いてすぐに、

「なら私も着いていくわ。二人きりより三人なら殺害される心配もないでしょ。」

という訳で結果的に三人で帰ることになった。

三人で帰路に着いてからしばらくして日比谷ハルが口を開く。

「なんか僕だけハブられてないかい?」

「いいえ、あなたの気のせいよ。」

「七瀬さん貴方は先程、僕に言い負かされたのが悔しいとはいえ、ハブるのは良くないと思うよ。」

「そうかしら?貴方のコミュ力に問題があるんじゃないかしら?」

またこの二人は喧嘩し始めた。

「二人ともいつまで言い争ってるつもりだよ…」

僕がそう呆れる。

確かに日比谷ハルはかなり怪しい。だが、いつまでも目の前で喧嘩してるのを見るとこちらが疲れてくる。

「はっきりいって貴方露骨過ぎよ?私たちと共に行動をするのもアリバイ作りのためでしょ?私の予想が正しければ、マコトくんの家に何か仕掛けていると思うわ。それでマコトくんを殺せなかったとしても、私たちと一緒にいたというアリバイを作れる。ついでに私たちの調査状況を知ることも出来るそんな所でしょうね。」

(…流石に読まれたか…)

と日比谷ハルは心の中で思う。

「だとしてもだ。仮に相澤君の家に何か仕掛けられていたとしても、僕にアリバイがあるのは崩せない。それは言いがかりに過ぎない。」

「協力者がいるとしたら全てに辻褄は合うが…やはり、証拠がない。いや、もし家に仕掛けられていたら、それからなにか掴めないか?」

僕はそんな事を思いながら歩いていると家の前まで着いた。

「二人とも送ってくれてありがとう。」

とお礼をする。

「マコトくん。気をつけてね…」

七瀬に忠告を受け素直に僕はわかったと返事をする。

「とりあえず明日、また会おう。」

日比谷ハルにもそう言われ僕は二人と別れ家に帰る。

家に入る際にチラッと二人の方をみると二人は一言も喋らずそのままお互い真反対の方を歩いていっていった。

「シビト花びらはどうなっている?」

「うん。落ちているよ。」

一気に緊張が走る。

「あの七瀬とかいう女、前からそうだけど只者じゃない。頭の回転がすごいね。」

シビトがそう関心している。

「ひとまず七瀬に電話をするか…」

僕は七瀬に電話をして呼び出した。

「やっぱりね。」

「あぁ。とりあえず部屋の中に何が仕掛けられてるのか調べる必要があるな。」

僕はシビトの方を見る。

「言っておくが僕はどちらの味方でもない。だから協力しないよ。」

僕はそれに対しこう返答する。

「 部屋のどこに危険があるか分からないしな。しばらく部屋に入れないか。」

僕がそう言って立ち去ろうとすると七瀬は僕を引き止める。

「ひとまず、部屋の中に仕掛けられてる物は恐らく爆弾だと思う。そこまでこの部屋は広くないだろうし、侵入して悠長にしている暇もないだろうから、手っ取り早くつけられる爆弾の可能性が高いわ。」

「爆弾だとしたら尚更開けられないね。部屋に入りたかったな」

シビトが肩を落とす。

「いいえ。部屋に安全にはいる方法はあるわ。」

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