第12話なえ

なえは小学生の頃から万引きを行ってきた。

初めは小さな駄菓子屋の商品をポケットに突っ込んで盗んでいた。次第に、コンビニの商品やスーパーのお菓子やがては、家に侵入し、お金を盗むようになっていった。中学三年生の時、なえは当時中学二年生だった日比谷ハルの財布からお金を盗んだ。しかし、その事はすぐに、日比谷ハルにバレてしまった。

万引きがバレたのが初めてだったので、なえは動揺する。

「君名前は?」

「なえ…」

「…このことは誰にも言わないでおこう。その代わりに僕に協力して欲しいことがある。」

それからなえは日比谷ハルに指示され、金を盗みその三分の一を日比谷ハルが取るということになった。


…現在…

なえは昼過ぎに無人となったマコトの家を侵入した。

玄関のドアはピッキングにより容易に突破する。

なえは家に入りすぐさま、二階に向かった。

マコトの部屋に入る際、ドアを注視する。

閉まっているドアにはシャー芯が挟まっている。

(日比谷ハルの予想通り…ドアを開けたらシャー芯が折れて入ったことが分かるという訳ね…)

なえはドアをそっと開けて、マコトの勉強机の引き出しの中に爆弾を仕掛ける。この爆弾は引き出しを開けたら爆発するようになっている。爆発の威力は付近に人がいたら上半身が吹っ飛ばされるレベルだ。次にドアを開けたら爆発するよう爆弾を設置する。

マコトの作戦は上手く機能する。

地面に落ちた花びらをなえは近くにあった花瓶から自然に落ちたものだと思い、まさかこの花びらによって部屋への侵入をしたかどうかの判断をするとは思いもしなかった。なえは折れたシャー芯を回収して、持ってきていた新しいシャー芯をドアを閉じる際に挟み、来た時と同じ状態にしてあとを去った。

その数時間後、マコトは放課後になり家に帰宅する準備を終え、学校を出ようとする時だった。「やあ、マコトくんちょっといいかな?」

日比谷ハルに呼び止められる。

「日比谷くん何の用?」

「少し時間貰えるかな?」

そう言うと僕を連れて人気のない廊下に行く。

そこでは、僕と七瀬が屋上に呼び出したメンバーが七瀬に詰め寄っていた。

「あんた、私たちを疑っていたなんて」

サチエが七瀬を睨んでいる。

律子はこちらに気がつくと僕に喋りかけてくる。

「なるほどね…タケシが行方不明になった後もマコトくんはずっと調査していたって訳か…」

「あぁ。律子も念の為調査していたんだ。」

僕が申し訳なさそうにすると、

「気にしないで…別に私は怒ってるわけじゃないから。でも…」

律子は七瀬と言い争ってるカナコとサチエをの方を見る。

「僕に提案がある。」

日比谷ハルは少し大きな声で皆に対して提案する。

「この連続失踪事件を君たちは二人だけで調査していたんだろう?それを僕達にも協力させて欲しいんだ。」

七瀬は反論する。

「この際だからはっきり言うわ。貴方達の中に犯人がいる可能性が高い。貴方達を私たちの懐に置くのは危険すぎる。」

「はぁ?またそういって」

カナコが怒る。

「ならなぜ、僕たちの中に犯人がいると疑っているのかい?」

日比谷ハルは七瀬を睨む。

「何も言う必要は無い。みすみす犯人に進捗状況を言いたくないわ。」

「残念だけど、君たちこそ、コソコソと動いていて今回の誘拐犯のように見える。」

「そう。勝手に思っておけばいいわ。」

「…当ててあげようか?君たちが僕たちを疑う理由を。君たちが疑っているのは行方不明になったあかりが仲の良かった人物だ。」

「…」七瀬は黙っている。

「はっきりいって浅い理由だ。なら、他にも行方不明になった人物がいるだろう。ここにいる容疑者がその一人一人と関係性がある訳じゃない。たったそれだけで僕たちの中に犯人がいると決めつけるのかい?

君たちは屋上に一人一人呼んだ。それは、犯人を特定するための作業だろう。しかし、結果はどうだった?誰が犯人かわかっただろうか?分からないだろう。何故ならこの中に犯人などいないからだ。」

七瀬はこう答える。

「随分と喋るわね…それに屋上を一人一人呼んだことが犯人を特定する作業?どうしてそんなことがわかるの?もしかして貴方が犯人なんじゃないかしら?犯人だからこそペラペラと喋る。自分の保身の為に。」

日比谷ハルは薄ら笑いしながら答える。

「見苦しいよ。七瀬さん。容疑者を一人一人屋上に呼び出す。あれはどうかんがえても犯人を特定する作業だと考えるのが自然だと思うが?」

完全に追い詰められ、協力せざるおえない状況に追い込まれる。

「…仕方ないわね。ここは負けか」

七瀬は小声でそうつぶやく。

「ではまずすぐそこの会議室に場所を移そう。現在の調査の進捗状況を教えてもらいたい。」

全員で、会議室に入る。

日比谷ハルは会議室に入る時に笑みを浮かべているように見えた。

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