第9話陽動作戦決行
「私の作戦は相澤くんが言った容疑者を一人ずつここに呼び出し、私達が適当に話している間に大音量のアラームが流れるように時間を設定したスマホをシビトに持たせておくこと。」
七瀬が作戦を説明し終えた。
「なるほど。犯人はシビトが見えているから、僕達が容疑者と喋っている間に急に大音量のアラームを鳴らせば、犯人は反応するって訳か。」
僕が納得すると七瀬は更に説明を続ける。
「万が一犯人が大音量に動じなかったとしてもアラームの鳴る時間と同時に適当な質問をする。そうすれば、アラームの音が邪魔で質問の内容が分からず答えることが出来ないってことよ」
七瀬が説明し終えるとシビトは不満気にいう。
「なーんだ僕を動かす条件が分かったと思ったら、そういう利用方法かよー」
僕は少し疑問に思った。
「シビトは基本的に中立なんだよね。アラームを持つって思いっきり、こっちに有利に働くけどいいの?」
シビトはこう答える。
「さっき、ボールペンを持ってって言われた時も普通に持ったからね。物を持つぐらいならルールに抵触しないよ」
(うーんシビトの匙加減がよくわからないなぁ)
そんなやり取りをし終えたのを確認すると、七瀬は作戦を具体的に説明し始める。
七瀬栞が屋上に容疑者を呼び出して一対一で会話をして、時間になったらシビトの持つアラームが鳴る。相澤マコトは屋上の裏側で緊急の事態に備えてスタンガンを持って待機する。犯人が正体がバレたと気づいた時、シビトのついている相澤マコトが目の前にいれば真っ先に殺すだろう。なので、シビトのついていない七瀬が呼び出す担当になった。では作戦開始だ。
まず律子だ。
「悪いわね急に呼び出して。」
七瀬は屋上に来た律子に謝罪する。
「別にいいですよ。ところでなんの用ですか?」
七瀬は少しだけ他愛もない会話をしつつ、
(10.9.8.7.6…そろそろね)
「質問なんだけどあかりちゃんは他殺だと思う?」
七瀬が質問をしたと同時にピピピピピッ!!
とけたたましくアラームが鳴る。
「あかりはきっと生きているよ」
律子は普通に質問に答えた。
(反応無し…律子は違うのか。)
「わかった。急に呼び出したのに来てくれてありがとう。」
七瀬は律子にお礼を言い別れた。
その後、カナコとサチエも同様の事を行うもやはり、反応はなかった。残るは日比谷ハルのみ。
「後は日比谷ハルだけだな」
僕がそう言うと、
「もう殆ど犯人は決まったものね」
僕と七瀬は確信する。日比谷ハルがここに来たら確実に引っかかる。ようやく、この事件の犯人が分かるのか。
僕は再び、スタンガンを手元に持ち屋上の裏側で見えないところで待機する。
(タケシ…必ず)
僕は覚悟を決めて日比谷ハルが屋上に来るのを待つ。
日比谷ハルが屋上に辿り着く。
「珍しいね。七瀬さんが僕と話したいことがあるなんて。」
「えぇ。実は聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
(10.9.8.7.6.5.4.3.2.1)
「あかりちゃんは他殺だと思う?」
同時にアラームがけたたましくなる
ピピピピピッ!
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