第6話トリック

「ここだ」

そう言い日比谷ハルはタケシを高校からかなり離れた人気の無い公園に連れてきた。冬なので日が落ちるのが早く既にあたりは真っ暗だった。

「ここなら犯人にバレる心配もないな」

とタケシが言う

「そうだね…あそこに自販機があるね喉乾いたし買っていってもいいかな?」

ハルは許可を取り二人で自販機の前に行く。

「この自販機水しか置いてないんだな」

とタケシが言うと

「まぁ古い自販機だし仕方ないよ」

ハルはそう言い、自販機のボタンを押し水の入ったペットボトルが取り出し口から出てくる

タケシも続けて水を購入するとちょうど自販機が売り切れた。

「お、ちょうど売り切れたな」

とタケシが言うと

「全然人の来ない公園だしね…多分まともに補充されてなかったんだろう。」

ハルがそういうと二人はペットボトルの水を飲み始める。

「喉乾いていたからちょうど良かったわ」

タケシとハルはそのまま水を飲み干す。

するとすぐにタケシは物凄いめまいがし始める。

「…!!ここの水…ハルお前!!」

タケシはそう言いながら倒れる

日比谷ハルは少し笑みを浮かべながら解説を始める

「僕が農薬のパラコートつまり毒を水に入れたのさ。まずさっきの塾の履歴について解説しよう。あの日僕は元々本当に塾にいた。だがあかりから電話がかかってきて呼び出された。塾の出入りの記録はカードを機械に一度タッチすると入ったと履歴が残りもう一度タッチすると塾を出たという履歴が残るんだ。つまり僕はあかりに呼び出された後塾のカードで機械にタッチせずに出てあかりをその後殺害し、シビトが死体処理を任せ僕は両親が帰ってくる前に家を出る。ちゃんと監視カメラがないかチェックしてね。幸い監視カメラはなかった。あかりの母親はシングルマザーだ。あの時間は仕事に行っているからいないだろう。その後塾に戻って十二時に機械にカードをタッチして帰る。そしてこの毒入り自販機だが、実はここの自販機の補充を担当している人とは仲が良くてね鍵を一度盗んだことがある。その時に合鍵を作り、その後落としていたと言って鍵を返す。僕は昨日の深夜にここの自販機の水の出てくる順番を水➝毒入りの水の順番で出てくるようにしたんだ。」

「お前…なんでこんなことしてんだよ…」

タケシはその言葉を最後に息絶えた。

シビトはハルの解説を聞き質問を投げる。

「でもさ万が一他の人が出していたらどうするつもりだったの?」

「自販機が売り切れと表示されても実は水が残っている場合がある。設定で一本残すか二本残すもしくは本当に売り切れの時に売り切れと表示するかで選べる。この売り切れ表示の後この残った水を何時間後に販売再開させるか設定できるようになっているんだ。僕は二本売り切れの時に残すを選ぶ。そして、売り切れと表示してから再びこの二本が販売される時間をちょうど僕達がここに来るぐらいの時間に設定しておく。販売が再開されたその二本がさっきの二本だったんだ。だからこの自販機がちょうど売り切れたんだ。」

「なるほどねぇ。つまりハル達がここまで来るまでは売り切れと表示されていた訳だから誰も買わないわけだ」

「あぁ。大抵の人はそもそもこんな公園来ないしね。」

「でも自販機の補充の人が運悪く来てたらどうするの?」

「心配ない。ここの自販機は相当売れ行きが悪いだろう。補充は一ヶ月に一回しか来ない。前回の補充の周期から見ても安全だ。」

それを聞いた後、シビトはタケシの死体を処理する。

「ハルお前は人間じゃないよ」

とシビトが言うと

「褒め言葉どうも…後対価は忘れるなよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る