17. 思わず悲鳴を上げてしまった出来事
これは、今年の2月にわたしが経験した実話です。
あの日は、在宅勤務をしていました。
午後は社内システム開発のベンダ・システム主管・業務主管が揃っての会議があり、わたしはその議事録作成のため、忙しなくキーボードを叩いていました。
議事録、というほど立派なものではなく、参加者も議題も結論もしっかり書かずに、『〇〇の判断について』とかの議題の下に『〇〇(会社や部署)・△△(名前)』と発言者と内容をおおざっくりに書くだけです。宿題が出たときに忘れないようにとか、備忘や週報を書く際に参考にする(ついでに参加者向けにも共有)目的で書いていたんです。
その時はまだ、あの恐怖の瞬間が訪れるなんで、思ってもみませんでした。
時刻は午後4時50分に差し掛かり、会議はもう終盤。
『全体を通して、確認事項などございましたら――』
もう終わると思い、ふっと気が抜けていきました。
そこで、あることに気付きます。
なんか、キーボードの隙間にある埃、気になるな……。
在宅勤務時には会社支給のモバイルノートを27インチディスプレイ×2枚に出力し、マウスはRAZERのPRO CLICK、キーボードは秋葉原でお手頃プライス購入のELECOM ECTK-G01UKBKを繋げています。
このキーボードは茶軸のストローク深めなんですが、強めにタイプする傾向にあるわたしに合っており、テンキーレスでありながら仕事のテンション維持用に愛用していました。職場に持って行った時期もありましたが、今はそのキーボードを持ち帰り、仕事もカクヨムもやっています。
そんなキーボードのキーの隙間に、細かい埃が見え、気になってしまったんです。
多くのメンブレンキーボード同様、キーボードのキーがある位置は一段低くなっていて、そこに台形のキートップが並んでいます。長く使えばそれだけ埃などのゴミが溜まってしまいます。
使用開始から3、4か月ですが、埃くらいは溜まってしまうでしょう。
なので、ちょっと掃除しようと思ったんです。
ディスプレイ表面の埃を払うブラシを持っているんですが、その持ち手の反対側には少し硬めの小さなブラシがあり、軸が露出しているような形の別のキーボードはこれで綺麗に掃除できていたんです。
ですが、このブラシでは今目にしている埃掃除はできません。
ブラシの長さの関係で、底まで届かなかったんです。
でも、心配いりません。
エアダスターを買っていたので。
さっと吹き飛ばせばすっきりです。
赤く細いノズルの刺さった大きめの缶を手に取ります。
さっと手に取るために、すぐ隣に置いてあるので、便利です。
埃が気になる場所、『S』『D』キーあたりにノズルを向けます。
シュ~~、とトリガーを引きました。
すると、勢いよく空気が噴き出す――ことはなく、
液体が、噴き出しました。
「…………え?」
一瞬、呆けてしまいました。
だって、気体じゃなくて液体ですよ?
しばらく使っていなかったから、液が溜まった?沈殿とかしてた?
エアダスターって体積の関係でLNGみたいに液体で入ってる?
いやいや冷静になれ。
キーボードを見ると、キートップが白い光を反射し、吹きかけられた液体がだらだらと隙間に流れていきます。
首を傾げながら、わたしは右手のエアダスター缶に目をやります。
そして――
「え?あ、…………あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ⁉⁉⁉」
思わず、叫んでしまいました。
だって、わたしが握っていたのは――
殺虫剤だったんですから。
:
:
:
なんだかホラーテイストに書こうとしてうまくいきませんでしたが、この時は本当に悲鳴を上げ、恐怖しました。
急ぎ、パソコンをスリープさせ、即座に分断勤務スタートです。
キートップを外し、綿棒とキムワイプでキーボードに溜まった殺虫剤を吸い取らせます。キートップは洗面器に水を貯めて薄めに洗剤入れて丁寧にひとつずつ洗っていきます。
洗ったら丁寧に水気を拭き取り、エアダスターで(二度見三度見しながら間違いないこと確かめてwww)水気を飛ばし、自然乾燥。
キーボード本体はキートップを漬けている間に、キムワイプで大雑把に液を吸わせ、丁寧に丁寧に綿棒で残りの殺虫剤を拭き取りました。
2か月以上経った今でもまだ問題なく使えているので、なんとかなったのかな、と思いますが、あの時は本当に焦りました。
殺虫剤とエアダスター。色は違えど、同じような大きさの缶に同じようなトリガー、同じ形状のノズル。ぼうっとしてるとよくないですね。
皆さんも、殺虫剤とエアダスターを間違えないように気をつけましょう。
いや、普通間違えねーよ!
※ちなみに、その時のお掃除中写真です。
キートップ清掃を終え、本体の殺虫剤も一通り拭き取った後です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます