第3話 自信

「虎鉄、自信を待て!」


 鎧を脱いでお腹周りが楽になり、逆に肩や胸、腕まわりが窮屈になっているのを感じながらリンドルさんとの話は続いていた。


「自信・・・」


「そうだ、アタシから見たら虎鉄はいい男だし、自信さえあれば虎鉄はもっと良くなるって」


「ありがとう。リンドルさん」と言いながら照れ笑いをする。


「へへ、お前の世界じゃどうか分からねぇけど、こっちの世界じゃ結構モテると思うぞ?」


 俺がモテる?ないない、ある訳ない。今までモテた事なんて一度もないし、嫌われる事はあっても好かれる事なんて無い。


「それに、虎鉄は重戦士なんだからそんな奴に蹴られたって痛くも何ともないと思うぞ?」


「そうなのか?」


 サッカー部エースの勝太郎の蹴りは声を出すのを何とか我慢できるけど痛いのは痛い。


 モテるって言ってくれたリンドルさんには悪いけど、勝太郎と比べると俺なんて・・・。


 外を見るとだいぶ暗くなって来ていたので、あまり長居しても悪いと思い、今日は帰ることにした。


 帰り際にまた来い、絶対来いよ、とリンドルさんは言ってくれた。


    ▷▷


 一回目に眩しかったので目を閉じながら壺に入り、家に戻った。


「なんか、楽しかったな」


 思わず笑みが溢れる。


 それもそのはず、人とまともに会話が出来たのなんていつからか思い出せないくらいだ。


 毎日憂鬱になりながら学校に行き、いじめられないかとビクビクしている。


 人の目も気になるし、体臭も気になるし。


 お腹が空いていたので、適当にある物を食べてお風呂に入る事にした。


 洗面所に行き、服を脱ぐ、鏡を見て驚く俺。


 あまりに驚きすぎて言葉が出ない。


 少しの時間鏡をジッと見ているとやっと言葉が出た。


「だ、誰?」


 ステータス更新ってなってから少し体が変わったと思っていたけど、ここまで変わるか?


 体についていた脂肪が全部筋肉に変わったかの様な。


 体が軽くなったと思っていたけど、ここまでとは。


「と、とりあえずお風呂に入ろう」


 さっぱりした後コップに入れたお茶を飲んで、いろいろ考えた。


 異世界のステータスは俺の世界でも影響がある事、時間の流れも同じだという事、服のサイズが合わない事、とりあえず壺は別の場所に移した。


「明日は服を買いに行かないと、制服もこれじゃあな」


 外に出るとデブ、臭いと言われて来た俺にはみんなの視線がそれを言っているように思える。


 休日の過ごし方なんて家に引きこもってダラダラしているだけだったし、むしろ外に行くなんて絶対に嫌なのに、リンドルさんに自信を持てと言われたから頑張る事にした。

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