ホラー探検隊(小話集)
赤羽九烏
猩々緋(しょうじょうひ)
「道に迷うって、どうやったら迷うんだよ」
そう言う人に限って、夜の、整備されていない道を歩いたことがあるという経験が少ないのではないでしょうか。
実際に歩いてみれば気づくでしょう。
歩くのに、結構、時間がかかることに。
そして、百メートルほどしか歩いていないのに、数百メートル、若しくは数キロメートル歩いたと勘違いすることが意外にも多いことに。
そういうとき、意外にも、周りの音はシャットダウンしてしまったかのように、静かなのです。
そして後ろを見ても、今まで自分が歩いてきた道を信じられなくなるのです。確かに、ここ、通ったよな? というふうに。
僕もそうでした。
あれは18時頃。だけれど、冬だったから、結構暗かったのです。
僕は友人と二人で、車に乗っていました。その日は友人宅に泊まる予定だったので、車で友人宅に向かっていました。
そして友人が助手席に乗っていた僕に言うのです。友人宅まで車で、あと3分くらいの地点で。
あれはなんだって。あの鮮やかな緋色に光っているものはなんだって。
さらに友人は僕に見てきてくれというのです。彼は、路肩に車を停めてしまいます。
僕は渋々行きました。僕は、理学部の物理学科ですので、論理的な思考は得意としている方です。怪奇現象が来れば数式で論破する。
暗闇に
確か彼は、鮮やかな緋色とはいってなかった。「
この流れで、説明は要らないと思いますが、
語源はまだ調べていないので分かりません。僕の代わりに調べてくれますか?
そして、僕はその緋色らしきところにむかってあるいてゆきました。
僕は懐中電灯確を照らしながら、ゆっくりと、そこに向かってゆきます。
たしかにそこには、ありました。緋色を放つ原因が。
猫が死んでいたのです。
木の串が刺さって。貫通していました。
それは鮮やかではない血をドロドロと垂らしていました。
僕は、論理的な思考が出来る方だと言いました。
木の串は先端がナイフのように鋭かった。誰かが一生懸命磨いだかのようでした。そんな串がこんな林に落ちていることが不自然です。
僕は友人にいわなければと思い、さっきまで歩いてきたはずの道の方を見ました。
だけど、光がなくて全く見えない。夜が更に深まっていたのです。
懐中電灯も、手元を照らすほどにしか役に立たない。
僕は、焦りました。
友人に電話しました。
圏外ではありませんでした。
「やばい、、、道に迷った、、、 ちょっとこっちに来てくれる、、? 」
友人は「それはまずいな、、今行く!」
とだけ言って、電話を切ってしまいました。
それに、猫が誰かに殺されている、そう僕が言おうとする前に切ってしまった。
そして、僕は誰かが走ってくるのが分かりました。
友人が来てくれた!
僕は、安心を取り戻しながら、
彼に懐中電灯を向けました。
彼は、大笑いしながら、
こちらに向かってくるのです。
それに、僕は初めから分かっていたのです。
暗闇は、何色にも、光っていなかったことを。
ホラー探検隊(小話集) 赤羽九烏 @Ioio_n_furinkazan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ホラー探検隊(小話集)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます