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それからもふとした瞬間にアノ人に気持ちを揺さぶられる日々は過ぎる。
しかし怒りと苦しみも「アノ人は死んでしまった」という結論に帰着すると不思議とすっと心が落ち着くのである。死んでしまったのだから仕方ない、もう今更どうしようもないと思えるのだった。
アノ人と別れてから数人と交際したけれど、どれも短期間で終わってしまった。新しい恋によってアノ人との失恋の傷を埋めるどころか、他の人と付き合って別れても「失恋の記憶」すら塗り替えられずにいたが、その次の彼氏は見た目や雰囲気にアノ人の面影を感じていた。ソノ人は後のワタシの夫となる。
久しぶりに夢中になれる恋をした、アノ人と重ねている部分は自覚してはいたが、ソノ人と過ごす時間を大切に思えた。寝る前に思い浮かべるのはソノ人である日が増えた。
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