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悔しいやら悲しいやら虚しいやら…プライベートの思考は負の感情に支配されつつも忙しく月日は過ぎる。涙を流す日は流石に減った。でもアノ人のことを一時も思い出さない日は殆ど無なかった。
そんな中、日本中で大騒ぎになる自然災害が起こる。
幸いワタシが住んでいる地域では壊滅的な被害はなかったものの、後のワイドショーで話題になる程度の被災はあった。
家族や友達と安否を確認する連絡を取り合った。
離れて暮らす親戚や遠方の友達が久しぶりに連絡をくれたりもした。
何年も前に別れた元カレの中には連絡をくれた人もいた。でもアノ人からの連絡はなかった。ワタシもしなかった。する勇気がなかった、する義理もなかった、そんなことは分かっているのに、心の何処かでこれをきっかけに連絡来ないかな…してもいいかな…なんて不純な気持ちを少なからず抱いていた。
災害の影響で慌ただしく非日常の日々が過ぎる。
日本中でたくさんの死者が出た。
そんなニュースを見ながらだんだんと少しずつ平穏を取り戻す中で、ワタシは「アノ人はこの災害で死んだ」と思い込んで生きることを決める。
心の中ではそんなことないとは思っている、99%生存しているだろう。そんなことはわかってる。
これは気持ちの整理がつかない失恋に区切りをつける不謹慎な1つの暗示に過ぎない。
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