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「ちゃんと渡したよ」

アイツからメールが来る。

「ありがとう。なんか言ってた?」

「イヤ、べつに?」

「そっか」

「飲み行く?」

「うーん…」

「俺、明後日暇だよ」


気を使って誘ってくれているのだから週末飲みに行くことにした。

考えてみれば20歳を過ぎて初めての失恋で、その憂さを酒にぶつけるという発想はまだなかった。


そして当日。

「で、なんで別れたの?」

「デリカシーないね…」

「イヤ、話したいのかなって」

「うーん…なんでって言われても…振られた、急に。なんか聞いてた?」

「別に?」

「付き合ってるときは?なんか聞いてた?」

「別に。」

「あんまりワタシの話ってしてなかった?」

「男同士ってあんまり恋愛の話しないからなー」

「大切にされてなかったのかな」

「それは知らないけど。」

「デリカシーないね。」

「センパイもう新しいカノジョいるよ」

「え、誰…?」

「えっとほら、お前とバイト一緒だったあの…」


別れて数日で新しいカノジョがいて、それはワタシとアノ人が付き合ってることだって知ってたバイトの後輩。頭が真っ白になった。そこからはしこたま飲んでアイツをカラオケに誘ったが断られたから一人で朝までカラオケにいって、次の日はひたすらに吐いた。

あまりそのあたりの記憶ははっきりしていない。


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