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どこにでもいる普通のカップルのありきたりな恋愛は思いの外長くは続かない。


アノ人は大学三年生、ワタシは短大の二年生になった頃、ワタシはバイトを辞め実習や就活に明け暮れていたがアノ人はまだのんびりとしていた。

その頃からケンカが増えた、嫉妬が増えた、嫌味を言った、時間が…気持ちが…思いがすれ違った。

二人の関係に小さな歪みを感じながら、忙しくすぎる日々に見て見ぬふりをしていた。


時は過ぎワタシは就職が決まってホッと一息ついたころ別れは突然訪れた。

「ごめん、もう好きじゃない」

泣いてすがるワタシを振り払ってアノ人は去っていく。

振り返ることもなく、かといって走って逃げるでもなく淡々と歩いていった。

これが「突然」ではないことは気がついていた。

冷たくあしらったこと、不要な嫉妬や束縛をしたこと、感情的になったこと、思い当たる節はいくらでもあった。分かっているのに、なぜなぜどうして…という気持ちでいっぱいだった。

朝までそこで泣いていたかったけど、冷静になって、外は寒くて、とほとほと歩いて帰った。


家に帰ってしばらくして、アノ人からメールが来た。「家帰った?」「うん」とやりとり。

それからは何を送っても返事がなかった。

最後にちゃんと家に帰ってるか確認してくれた優しさはアノ人の全てだった。

そういうところが好きだった。

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