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物語の主人公はいつだって幸も不幸も特別な「なにか」を持っている。
実家が大金持ちとか大貧乏とか、青春を過ごすのは都会の真ん中の私立か豊かな自然に囲まれた辺鄙な地の校舎。大きなビルで大金を動かすような責任重大な仕事や有名な専門職につく。そうやって相場は決まってる。
恋愛だってそうで、平凡な主人公女性がなぜか複数のイケメンから言い寄られるとか、親の再婚相手が同級生だとか、どっちかが大病するとか、駆け落ちとか。
現実にはなかなか起き得ないような話ばかりだ。
ここからはじまるワタシのつまらない話にはそんな数奇ななにかがあるわけではなく、客観的にみれば犬も食わないような学生時代のありきたりな恋の話。
アノ人との出会いは高校の時のバイト先。アノ人は大学生であったがバイト歴はワタシが先輩だった。そんな微妙な関係だからはじめの頃はお互い敬語で話す仲。
しばらくしてワタシも短大に進学し閉店時間までバイトができるようになる。
バイトの通勤や登下校などで顔を合わせる機会が増え、やがて互いの実家の最寄り駅が隣駅であることが判明する。
なんとなく上がり時間が同じなら一緒に帰るとか、そんな事が増えて距離を縮めて付き合うことになった。
驚くような告白があったわけでもなく、先に体の関係…とかでもない。冗談半分の「付き合っちゃう?」から始まった恋だった。
平日はお互い学校で、バイト中に周りのみんなに隠しながらちょっと目配せをする歯がゆさとバイト終わりに、ワタシの最寄り駅で降りて歩きながら帰り道デート、そんなピュアな日々だった。
時々する休日のデートは映画、カラオケ、ボーリング、お金をためて遊園地。特別美男美女でもないしどこにでもいる普通のカップルの普通の恋をしていた。
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