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思い返せば、特記事項のない人生だった。
平凡なサラリーマンの父と暇つぶし程度のパートをしていた母。そんな二人の間に生まれたワタシ。
一人っ子が故に少し過干渉ではあったけど、毒親という程でもないし、特別溺愛されていたわけでもない。
生まれ育った街は大都会でもなければド田舎でもない、例えば東京まで出るのに1〜2時間程度の住宅地。進学や就職で東京に出ても「上京」とは言わないような、でもたいした観光地や自然もない地方都市のベッドタウン。
幼少期から習い事もいくつかやったけど、地域のコンクールで銀賞くらいのレベルが最高到達点で、勉強だって苦手じゃないけど何かがものすごく得意ってわけでもない。
運動神経がむちゃくちゃ悪かったら…めっちゃ音痴とか…絵がすごい下手とか…それならそれで面白いけど、そういう特徴もなく全部それなりにはできた。
ルックスで言えば顔面の自己評価は中の下。イジりづらい程度。身長は平均より少し小さいけどチビキャラポジションになるほどではない。痩せてもないし太ってもない。
そして地元の公立高校から短大卒と、個性のない学歴。
その後の人生はといえば、最初は地元ではそれなりに名のしれた企業に就職できたが、訳あって短期間で小さな会社に転職をした。
20代後半で結婚し子供を授かり平凡なサラリーマンの夫と共に暇つぶし程度のパートをしながら日々を過ごしている。
ワタシの人生は良く言えば普通というか平均的というか、一般的というか…。
人並みの幸せというぬるま湯で穏便に生きている自覚はある。
でもそれはなにもかもが中途半端で、時々タラレバの妄想に押しつぶされて気持ちを振り回される。
そんな時に思い出すのはあの恋の話だ。
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