第7章 解呪

第235話 出陣?

 午後になると、姉達がやってきてより一層騒がしくなった。姉達がいると、賑やかだ。


「やだぁ! ココちゃん超可愛いぃー!」

「本当! ココちゃん完璧じゃない!」


 と、姉のエリアリアとロディ兄の婚約者のアンジェリカだ。

 この2人、学園を早退してやって来たらしい。と、言うか名立たる貴族のご子息ご令嬢方が今日は皆早退らしい。皆、晩餐会に呼ばれているんだ。

 なので、授業にならない。急遽、午後から休校になったらしい。

 それだけの人数が参加するんだ。しかも、皆解呪が必要なのかも知れない。

 霧島、頑張ってくれよ。


「んぐッ」


 またオヤツを食べてんのかよ。良く食べるドラゴンだな。今日のオヤツは何だ? どら焼きかよ。霧島の顔よりデカイぞ。


「何言ってんだ。本当の俺様ならこんなもんじゃ足りねーぞ!」


 はいはい、そうかよ。でも、今日は本当に頼んだ。


「おうよ。大舟に乗ったつもりでいていいぞ!」


 アハハハ、頼もしいぜ。泥船じゃない事を祈るぜ。


『ココ様、ココ様』


 お、クリスティー先生から念話だ。


「はい、クリスティー先生」

『とうとう今日ですね。魔法陣の設置は大丈夫でしたか?』

「はい、無事にすみました」

『今日は大勢の解呪が必要になるだろうと予想されまっす。どうか、くれぐれも無理なさいませんように』

「はい、クリスティー先生。ありがとうございます」

『ああ、本当に心配でっす。私がビュンッとそちらに行ければ良いのですが』


 そりゃ無理だ。てか、そこまで出来ちゃうとちょっとびっくりなんかで済まないぞ。


『待機しておりますので、いつでも念話してきてください』

「ありがとうございます」


 それだけでも心強いぜ。

 男性陣の準備がボチボチできたらしい。次々と着替えを済ませて談話室に集まってくる。


「ココ嬢、今日は綺麗だ」

「殿下、『今日は』て何ですか? 『今日は』って」

「アハハハ。言葉の綾だよ。いつもは可愛い感じだけど、そうしてドレスを着ていると綺麗だよ」

「もう、遅いです」

「アハハハ」

「ココ、いいね。似合っているよ」

「ディオシスお祖父さまもカッコいいです」

「そうかい? ありがとう」

「ココォ! 可愛いぞぉー!」

「可愛すぎるぞぉー!」


 はいはい。父とユリシスじーちゃんは今日も元気だね。だが、流石貴族だ。正装したら父もじーちゃんも、ちゃんとそれなりに見えるから不思議だ。馬子にも衣裳だね。


「ココ。エリアリアはまだかい?」

「はい、バルト兄さま。今着替えていると思います。あれ? 今日はキャリーナ様は行かないのですか?」

「ああ。危険だからね」


 なるほど。その危険に喜び勇んで飛び込んで行くエリア姉達はどうよ?


「エリアはなぁ。もう少し落ち着いてくれると良いんだが」

「ココ、可愛らしくなったね」

「ロディ兄さま、その言い方だと普段は可愛くありませんか?」

「何を言っている、普段も可愛いに決まってるじゃないか」


 はいはい、皆同じ様な反応なのはどうしてだ?


「普段はお転婆ッスから」

「え、そういう事?」

「そうッス」

「はいぃ」


 マジかよ。俺、超大人しくしているつもりだったぜ。お淑やかにさ。


「気のせいッスね」

「ヒデーな」

「お嬢さまぁ、今日は若は封印ですぅ」

「あ、ごめん」


 ついつい、若バージョンになっちゃうぜ。

 今日の衣装は全員、例の糸から作った生地で出来ている。状態異常無効だ。それに、軽く物理防御もついている。

 なにより、皆俺が作った魔石のネックレスを着けている。完璧じゃん。

 それでも危険な時は、魔石に付与しているシールドを展開させて逃げる一択だ。

 とにかく、皆の安全が第1だ。その為に作った生地と魔石のネックレスだ。

 そして、今日は貴族が集まる時間より早く大聖堂から魔法に長けた人達が城に入る。合図があるまでクリスティー先生作の魔法陣の近くで待機だ。

 そのシールドが展開されると全ての精神異常と状態異常が無効化される。素晴らしい。

 あとは、王妃の私室に入って行ったという黒いモヤモヤの根源を突き止める。

 王と王妃の安否を確認する。

 今日を逃すと、今度はいつこんなチャンスがあるか分からないからな。

 姉達の着替えも終わり、全員談話室に集合だ。こうして見ると圧巻だ。

 皆、正装すると雰囲気が変わる。あのいつも煩い脳筋大将の父とじーちゃんまでもだ。


「よいか、皆。気を引き締めていこう」

「必ず1人では行動しない事だ。ココ」


 え? 俺か? 大丈夫だよ。俺はいつも咲や隆と一緒だ。


「だとしても、勝手に動かない事だ」

「はい、お祖父さま」

「ココ、大聖堂の方達の方はもう入っているのだったか?」

「はい。皆より一足先に入って待機して下さってます」

「そうか。あのシールドが要だからな」


 そうだ。シールドが万が一展開されないと解呪が大変になる。ま、霧島なら部屋ごとやってしまいそうだけど。


「おう。いざとなったらそうするぞ」


 やっぱできるんだ。


「あたぼうよ。俺を誰だと思ってんだ」

「小汚いトカゲさん」

「エンシェントドラゴンだっつーの!」


 アハハハ、分かってるって。


「では、行こうか」

「「はい」」


 さあ、出陣だ!

 俺達は数台の馬車に乗り込み、城を目指した。




 ◇◇◇


お読みいただき有難うございます。

最近、ココちゃんのランキングがジワジワと上がってます。

カクヨムコンが終わってから上がるってどうよ? と、思いつつとっても有難い事です。

有難うございます!

もう直ぐ、ラストを迎えます。

最後まで読んで頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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