第210話 ばーちゃんの企み

「精神干渉されていたからか?」

「それもある様ですけど、元々伯爵令嬢ごときが、と思っていたようです」

「幼い頃からプライドが高くて気性の激しい令嬢だったからな」


 元々の性格が精神干渉で増長された感じか? それにしても、姉達が助けていなかったら人殺しになっていたぞ。


「1度直接訪ねる方が良いか……」

「お祖父さま、ご家族も精神干渉されている可能性があります」

「そうだ、そうだったな。しかし、我々の調べがつかないところまで広がっている。見つけ出さないと、どうにもできんぞ」


 そうなんだよ。どこまで広がっているのか分からないんだ。


「何か手を考えないといかん」

「お祖父様、第1王子殿下と第2王子殿下が全面的に協力してくださるそうです」

「そうか、それは有難い」


 王子2人が協力してくれるんだ。其々を一々探すよりどこかに集められないか?

 城に出入りした事のある人達だけでいいんだ。しかし、なら商人達も可能性があるのか。


「ロディ兄さま、1度王都の商人達を鑑定眼で見てみたいです」

「ココ、城に出入りしている者がいるからかい?」

「はい。貴族だけを集めるのなら、お茶会でも夜会でも手はあります。でも城に出入りしている人達までとなると、どれ位の範囲になるのか想像もつきません。どの程度のものなのかを見てみたいです」

「そうだな」

「ココちゃん、じゃあまた一緒にお出掛けしましょう」

「はい、お祖母さま」

「では、私が付いていこう」

「ディオシスお祖父さま、お願いします」

「ではそっちはココに任せよう。で騎士団はどうだ?」

「義父上、ほとんど解呪できたと思いますぞッ」

「キリシマ、それを確認できる?」

「おうよ。俺様に任せておきな!」


 よし、霧島がいてくれて良かったよ。確実に解呪するのも、確認できるのも俺だけだったら大変だった。


「ココ、もっと俺様を褒めてもいいんだぜ!」

「なんでよ」

「ココみたいなのをツンデレってんだぜ、知ってるか?」

「え、違うわよ。素直って言ってよ」

「なんでだよー!」


 ハハハ、でも助かるよ。頼んだぞ。


「任せな!」

「では、確実な事を増やしていこう。ココは王都の商人達の確認。キリシマは騎士団の確認だ。それがハッキリしてからまた話し合おう」

「ココちゃん、明日朝から行きましょうか?」

「はい、お祖母さま」

「じゃあ、今日はもうお祖母様と一緒にお茶しましょうね」

「はい」


 お茶? 今飲んでたけど?

 で、とにかくばーちゃんとお茶だ。お茶菓子には、またうちの料理人達が作ったであろうスイーツが。甘いのが欲しかったんだ。ラッキーだよ。


「ねえ、ココちゃん。前に教えてもらったスイーツなんだけど」


 と、ばーちゃんの話だ。以前、シュークリームとか数点こっちのシェフに教えたんだ。

 俺じゃないよ。うちの料理人が教えた。それをまた別の料理人に教えてテイクアウトのスイーツのお店を出すそうなんだ。

 それも、以前聞いていた。それがどうした?


「やっぱりね、お持ち帰りだけだと勿体ないじゃない? だからお店で食べられるようにしようと思うのよ」


 ほうほう。今日のお茶菓子はアップルパイだ。カスタードクリームと甘く煮たりんごがマッチして俺は大好きだ。サックサクで美味いな。


「だからね、ショートケーキ的なもので何かないかと思って」


 ほう、ショートケーキか。俺はいちごのショートケーキも好きだけど、イチゴならミルフィーユの方が好きだな。あとはモンブラン。季節によってはイチジクのタルトとかも美味い。


「あら、それはどんなのかしら?」

「え?」


 え? 俺、声に出てた?


「お嬢、出てたッス」

「全部ですぅ」


 マジか!? 俺、疲れてるかな? ヤバイな。無意識だったよ。


「えっと、パイ生地とカスタードとイチゴを重ねるんです。ちょっと食べ難いですけど、美味しいです」

「それが、いちごのミルフィーユというのね?」

「はい。で、モンブランは基本的には栗のペーストや生クリームを混ぜた物をこう、なんていうか搾り出すんです。あとイチジクのタルトはそのまんまですね」

「よく分からないわね」


 分からないかぁ〜、俺の説明だと無理かぁ〜! 実物を見て食べてもらうのが1番だな。


「うちの料理人が作れますよ」

「あら、そう? なら聞いておくわ。他にはないの?」

「そうですね~。手軽なものならクレープとか?」

「それも料理人は知っているのかしら?」

「はい、全部作れます。1度作ってもらったら良いと思いますよ」

「そうね、そうするわ」


 ばーちゃん、儲けるね~。この世界にはまだないスイーツだから珍しいだろうし、集客は良いだろうな。


「お嬢、バッチリッス」

「そう?」

「はいぃ」


 ま、和も食べたいところだけど。1度に色々言ってもな。


「イチゴ大福が良いですぅ」

「ああ、美味しいわね」

「なに? なあに? それもイチゴなの?」

「はい、お祖母さま。イチゴは無敵です」

「フフフ。あらあら、食べてみたいわ」

「お祖母さま、手に持って齧り付くんですよ」

「まあ、そんな食べ方するの?」

「はい。大福はそうして食べる方が美味しいです。クレープも手に持って歩きながら食べられますよ。王都名物になったら良いですね」

「いいッスね」

「はいぃ」


 て、今更地味に飯テロかよ。

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