第6話 着地

 強いく優しく暖かい光に包まれ、僕はふんわりと浮いている感覚に陥った。

このまま寝てしまいそう、自分の意思を伝えるって思ったより疲れるのかな。

 

この光も心地好いし、少し眠ろう。


 しばらくして、僕は寝ていたが背中にデコボコとした物が当たる違和感で目を覚ました。


 眠い目を擦りながら身体を起こしていく。

意識が覚醒するに連れて周囲から様々な音が聞こえて来る。

水が流れる音、動物の鳴き声、木々のざわめき。


 はっきりと意識が覚醒し周囲を見渡すと僕は驚いた、ここは森だ。

人気も一切感じない、目の前には僕が見たことない人の顔をしたような木々に、上半分か赤、下半分が青のひょうたん形の実が幾つか宿っている。

横を見ればすぐ近くに川が流れている、頭上を見れば見たことない翼が4枚の鳥が飛んでいる。


 僕はここがあの人の言う別の世界なんだと実感した。


 しばらく見呆けていると、喉が渇いてきた。

近くに川が流れているから丁度良いかな。


 川に着き覗き込む。かなり澄んでいて綺麗だ、

これなら飲めそう。

ほっとすると同時に川に写る自分が見えた。

容姿は前のままなんだと思ったが、新しい名前ビリィスを思い出す。


 僕は生まれ変わったんだ。容姿に変化は無いが新しい名前のおかげで少し元気が出てきた。


 川の水を手ですくい、一口飲む。

冷たくて美味しい、身体に染み渡るようだ。


 喉が潤い今後の事を考えるようにした。

現状ここは森だということしか分からない、周りに人が住んでいるのか、道がどこにあるかも分からない。


 僕の住んでいた前の世界では、夜に山に入っては行けない帰ってこれなくなると言われていた。

ひとまず僕は食べ物を探しながら、道を探すことにした。


 田舎暮らしで父が女を連れ込んでいる間よく裏山に行っていたので、山のことならちょっとは分かるはずだと思った。

だけどここは別の世界だから十分に注意して探索をすることに決めた。


 もうどのくらい歩いただろうか。

川沿いを河口に向かって歩いていたが、全く景色が変わらない。

ずっと不気味な木々と変な木の実しか目に入ってこない。


 段々と空が暗くなり不安が募る、幸い食べ物は変な木の実があるから何とかなるだろう。


 またしばらく歩いた。スボンのポケットに木の実が入っていて少しは安心だと思ったが、

さっきより暗くなって僕は焦っていた。

夜の森は怖い、昼間とは全く雰囲気が違う。

人の手が入っていない森だと余計に感じる。


 これ以上歩くのは無理だと思い立ち止まる。

もうすぐ本格的に夜が来る。その前に火を用意しないといけない。

だけど僕はここまで暗くなるまで森に居たことが無いから火の起こし方なんて知らない。


 立ち竦みやがて座ってしまった。

僕の居た所では熊や猪が出た。ここでもそういった人を襲う動物が出るかもしれない。

怖い、かなり怖い。とうとう僕は怖くて動けなくなってしまった。


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