第49話 人類と魔王
「アイゼル頼んだよッ!」
「承知ッ!」
トウカの言葉に反応し、アイゼルはその紅蓮の様な熱さを誇る魔力を俺に対してぶつける。
「…」
それに対して俺も同じ様に魔力支配を施した魔力を辺り全体に流した。
それにより彼女の魔力はかき消され、勢いに乗った魔力はそのまま抵抗力の低い者達の首を切断す──
だが、俺の力は弾かれた。 如何やら、彼らの身体には聖女の魔法が施されているらしい。
「魔王の攻撃は聖女である私が喰い止めます。 ですので、皆さんは彼の首を────」
俺は段々と抑えきれなくなってきた黄金の炎を開放する。 それは城内を不規則に駆け巡り、辺り一帯を幻想的な火の海に変える。
「アレックス、メイベルッ!? ク────」
王子たちが死んだのか……耳も段々聞こえなくなってきた…俺は炎の晴れた景色を見て残りの邪魔者を数える。
……後は、聖女にトウカ、一人だけか。
俺は────。
「どうやら、オルフが命を賭けて使った技が効いたみたい」
『私の血は魔力と同じ様に、少しでも摂取した相手を眠らせる効果があります』 戦う前に彼はそう言い、この作戦を提案してくれた。
彼はアイゼル達が注意を逸らしている間に、バレないようにその場に血を流した。
それは一切魔力が込められていないのでアツヤの魔力探知を抜け、同時に放たれていたアイゼルの魔力で蒸発して空気に混ざる。
そして、時間が経つことで魔道具を使って呼吸を止めていない彼だけがオルフの血を吸うという結果になった。
「…申し訳ありませんでした、私があの時、魔王を見つけた時点で対処していれば…【浄化】」
聖女は完全ではないが動きの止まった彼に対して近づき、少しだけ言葉を送った後に魔法を発動した。
「トウカさん…彼を終わらしてあげて下さい」
「……アツヤ…如何してこんなことを」
僕は震える手を必死に抑えて、彼の腰に差してあった短剣で心臓を貫いた。
……だが、眠りの効果が切れ、聖女の魔法と心臓の損傷程度では殺しきれていなかった彼は意識を取り戻すとともに即座に炎を放出した。
「い────」
それに包まれ、聖女の姿がその場から消える。
「…これで、邪魔が消えたな…」
「──もう辞めてよ、こんな事ッ!」
彼は半ば意識を失った状態のまま、僕に向かって攻撃を繰り返す。 それにより、僕の身体も段々と火傷の跡が増えていく。
何で…この力…僕と同じものを感じる…。
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