第47話 師匠と剣神
「久しぶりだね、アツヤ」
「…校長先生、それと【剣神】か?」
あれからも魔族は進行を続け、人類の多くが犠牲になっていった。 だが、その中でも力強く生き残る者達はお互いに身を寄せ合い、国境を超えた魔王討伐隊を結成して反逆の意思を示した。
「…魔王と話す言葉は無い」
「…アスタの師匠は、アンタだったな」
目の前には灰色の髪で無償髭を生やし、只無表情で二メートルを超えの自身の背丈を上回った長さを誇る、不気味な程に輝きが失われた長剣を構えた剣士の姿が。
「アレが噂の剣神?」
そう言いながら、偶然近くに居たゼルファが興味深そうに彼を眺めている。 そして、奴のことが気に入ったのか静かな城内に響き渡る程の大きな声で言った。
「私がアイツと戦いたいですッ!」
「好きにしろ…師匠、俺達は別の場所で闘うとしましょうか」
「待てッ!逃が──「分かりました、話したい事も多くあるので場所を移すとしましょう」」
俺は自分と一切の抵抗が無かった彼に対して転移魔法を発動し、ある場所へ闘いの場を変えることにした。
「懐かしいですね、私達が初めて出会った場所ですか──」
此処は何も無い、草木も生き物も居ないただ中途半端に広いだけの無人島だ。 俺は小さい頃、飛行中に魔力が切れて海で溺れかけた時、偶然近くにあったこの島に必死で非難した。
「俺にこの空間魔法を教えてくれたこと、本当に感謝しています」
師匠は此方の顔を険しい顔で見つめて、俺に対して当然の疑問を問う。
「…何故、こんなことをしたのか教えてくれませんか?」
「…実際の所、自分でもよく分かっていません。 アスタやカテリーナ、他にも多くの人を殺して哀しいはずなのに、ただ只管に彼女と殺し合えるほど戦える状況が出来上がっていくのが嬉しいんです」
俺は頬には水滴が伝うのに、何故か口角が上がって笑顔が止まらない。 ただ胸の中が彼女と戦えるという事実に震えている。
「……止められなくてすまない、私は弟子を殺す事になるようだ。 でも安心してくれ、直ぐに私も後を追う」
師匠はそう言うと、俺と同じ転移魔法を発動した。
それによって島の上の空間が歪み、俺が立っている場所に向かって多くの騎士が降りてくる。 それも只の騎士ではなく、ある鉱石で作られた
「アルト君が作ってくれたんですよ、一定の範囲内に居るだけで近くの魔法使いの魔力放出を遮る騎士を。 これで貴方はもう魔力を使うことが出来ません」
…確かに、これじゃあ得意の魔法を使うことが出来ないな。 だが、俺はあの日に体に宿った新たな力がある。
「先生に見せましょう……人間と魔族を超えた力を」
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