第40話 対峙と呪い神
「あ、アツヤおかえり! 長い修業が終わったんだ!」
寮の自室に戻ると、笑顔でウロボロスを抱いたトウカの姿があった。
「最近は世話をしてやれなくて悪いな…。 トウカ、お前に一つ頼みがある」
「ん? どうしたの?」
彼女は頭をこてんと横に倒してそう聞いてくる。
「そうだな、この硬貨を俺に軽く投げてくれ」
それはこの王国で使われている最小単位のお金だ。
「これを投げればいいんだね?」
そう言って、彼女は軽い動作で俺に向かって硬貨を投げ始める。
…さて、どうなるのか。
彼女は腕を振り下ろしながら硬貨に触れている指を離し、その強力な力から放たれたソレはものすごい勢いで此方に飛んでくる。
「俺の魔力よッ! 今此方に飛んッ──「ゴンッ!!」」
い、痛ってぇ!? あ、あたま、頭が裂けるぅぅ!!
「ご、ごめん、大丈夫!?」
何故だ! 何故俺の魔力の効果が発動しなかったんだ!
「…如何やら、彼女の強大な魔力によってお前の魔力は打ち消されたようだ」
…考えてみれば、俺の魔法も毎回彼女の魔力に打ち消されてた訳だし当たり前だ!
「俺を騙したな、魔王ッ!」
「悪いな、暇つぶしとして楽しませて貰ったよ!」
「あ、アツヤの頭が狂って何もない場所と話し出し──」
此奴逃げるんじゃねぇ! 今回こそは如何にか捕まえて────。
夕暮れの時間、俺は一人公園のブランコに揺られていた。
「お兄ちゃん、ブランコまだ?」
「あ、悪いな。 待っている人が居たのか」
俺はすぐにブランコから降りて、近くのベンチに移動して夕陽を眺める。
「アイツに。 魔力が桁違いなアイツに魔法で勝つことは不可能なんじゃないのか?」
だってどんな魔法や魔力だって、奴に近づくだけで無効化されてしまう。 それに、元々の体のスペックも規格外だしこんなの勝ち──
俺は頬を思いっきり叩き、自分に喝を入れる。
「諦めんなよ、俺! 此処で諦めたら今までの努力は何の為にあったんだよッ!」
「そうだ少年! お前にはまだ勝つための手段がある」
そう言って俺の目の前に一人の男が現れた。
「貴方は呪術の神と言われた──」
「そうだ、私が【呪い神】と呼ばれた男。 サトウ・カズヒロだッ!」
そこには、最強の呪いを使うと謳われる男が仁王立ちしていた。
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