第39話 完成と余興
「遂に成ったようだな」
俺は森の中で三日間発動していた空間魔法を解除し、力が抜けて座り込む。
「フゥー…漸く終わったのか」
「あぁ、三日間お疲れ様!」
此れで俺も魔族だけが使えるという魔力支配が…何だ? よく見ると俺の周りの空間が歪んでいる?
「おぉ~、これがお前の魔力支配か!」
「この空間の歪みが?」
俺は試しに目の前へ真っすぐに石を投げてみると、何故かそれが勢い良く俺の額に目掛けてぶつかった。
「痛ッ! 此れは…空間同士が滅茶苦茶に繋がっている?」
「それだけじゃないぜ! 少し魔力の量や出し方を調整すれば今までにお前が使ってきた空間魔法が下準備なしで使えるだろう!」
「これは凄いな! この力があれば俺はッどんな敵にも──」
「ま、頑張れよ相棒…」
それからさらに数日が経った、俺は力試しに帝国で出没した骸骨騎士の王、
日が暮れて周りからは灯りが消え、視覚以外から情報を得なければ目の前の敵すらしっかりと確認できない程の暗さだ。
「──」
奴らは言葉を発することは無い。 その代わり、意思を占めすかのようにカタカタと骨しかない体を揺らして音を立てる。
「お前達が不用意に弓なんて放つから、仲間の大半は死んだな」
辺りには、既に矢が多数刺さって倒れている奴らの仲間がいた。 といってもほとんど体は砕けて残骸となっているが。
「──」
目の前に居る骸骨騎士Aも怒って俺に剣を振り下ろそうとするが、それは俺に確実に当たる距離なのにすり抜けた。
そして、振り抜いた剣は地面に強く打ち付けられて土が飛ぶ。 勿論、それも俺の体に当たる事は無い。
「俺の体の周り、見えないと思うけど他の空間が挟まれているんだ」
つまり、僅か剣との距離が十センチしかないと思うような距離。 そんな距離でも実際には数十メートル、数百メートル分の空間を挟んでいる。
まあ、こんな遠回りな事をしなくても適当に体の周りを歪めたら攻撃が通る事はないが。
「…なんかこっちの方がかっこ良いしな」
俺は試したいことが終わったので、辺りに魔力を流して奴らの胴体と首を切断する。 勿論ボスである骸骨騎士王の首も一切の抵抗なく。
「──待ってろよ、トウカッ!」
俺は不敵な笑みを浮かべ、奴の元へ転移を発動した。
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