第34話 時空龍と裏切り
「質問しても良いか」
「良いよ、儂に答えられることなら」
俺は大きく迂回して尻尾の反対にある顔の場所まで飛行。
そして、意を決して時空龍さんに話しかけた所意外とフレンドリーだった。 戦闘や交渉になる事を予想して緊張していたが取り越し苦労だったようだ。
「時を戻す魔法について教えてもらえないだろうか」
「…それは無理じゃな、儂にできるのは時の流れを少し遅くするぐらいじゃ」
え!? 無理なの?
「時空龍なのにか?」
「時空と名前に付いているから、と儂が何でも出来ると思ってはいかんぞ。 最近の────」
俺は暫く彼の長話を聞いた後、折角なので時の流れを遅くする魔法を教えてもらった。
しかし、その魔法は皇子を戻すのには使えそうになかった。
(仕方ない、魔力の残量も大分少なくなってきたし帰るとするか)
俺はすぐに転移魔法を発動し、寮の自室に戻った。
ふぅ、二時間ほどしか出掛けていないのに大分疲れたな。
(魔力も後僅かな事だし、魔力回復薬でも飲んで────)
あれ、体が思うように動かないし意識────。
「やっと隙を見せてくれたね」
お、るふ?…
「ようやく目が覚めたか?」
目が覚めると、目の前にはルームメイトであるオルフが無表情で立っていた。
…どうやら体に拘束などはされておらず、自由に動かすことが出来た。
「どういうつもりだオルフ!」
「アツヤ、この姿に見覚えは無い?」
そう言うと彼は鏡の魔道具を取り出し、それに魔力を込めた。
「お、お前は魔族の四天王!」
すると、そこには見覚えのある魔族の姿があった。
別の世界線で俺が敗北をした魔族。 眠りの魔力を持っていて人形の様な顔をした、魔族の幹部である四天王の一人だった。
「変装してこの学園に居たんだ。 まあ、自分が魔族だと気づいたのも最近のことだが」
『アツヤとルームメイトになれて良かったよ。 おかげで全てが上手くいった』 彼は表情を変えずにそう続けた。
どういう事だ? オルフがアイツで俺を騙していたのか?
「そ、そうだ! アルトはどうしたッ!」
「…彼なら殺したよ、死体は見ない方が君の為だ」
「嘘つけ! アイツがお前に負けるはずがッ──「君の代わりに死んだよ、この契約書を残して」」
これは、アイツの創った魔法契約書?
「君の命を助ける代わりに、彼には死んでもらった」
お、れを、助けるために?
「彼は凄かったよ。 君の為に命を差し出す事に少しも恐怖を感じていなかった」
俺のせいでアルトが死んだのか?
「…全ては魔王様の為だ、こんな魔力を持った忌み子の僕を救ってくれた彼の為に」
「だから、アルトを殺したのか?」
「ああ、勿論学園の他の生徒や教員も。 目標だった聖女も確実に殺したよ」
みんな、殺された?
「ああ、君の思い浮かべるようなこの学園に居る人達は全て」
な、んで。 こんなことに。
「安心して、彼との契約があるから君を殺すことは無い」
足音が遠のいていく、俺のせいであるとがしんで…皆が死んで…
「しっかりして、アツヤ!」
「と、トウカ?」
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