第24話 結果と始動
「……」
「思ったより呆気なかったね!」
そこには気絶して倒れているメイベルと楽し気に笑うトウカの姿があった。
「大丈夫ですか、メイベル?」
聖女と彼女はやはり知り合いらしい。 鎧越しに倒れたメイベルの背中を優しくゆすっている。
「せ、聖女様? 決闘はいったい如何なったのですか?」
「目にも止まらぬ速さで顔を殴られ、貴方は倒れました」
「は? 私が気付かない速度で拳を喰らったと?」
「ええ」
聖騎士はその言葉を確かめる様に周りを見るが、暫く俺達を眺めた後それが事実だと分かったようだ。
「くッ!」
悔しそうに声を漏らした後、この場を逃げる様に走って何処かに行ってしまった。
「…しょうがないな」
俺は仕方なく彼女をフォローすることにした。
だって、どうせ監視役にするならあのぐらいポンコツの方が有難いからな。
決闘の後、多くの生徒が受講している授業の為にそれぞれ闘技場から去っていった。
しかし、俺は優秀なので一つも授業を受講していないが、大きな校則違反をしない限りは登校するだけで卒業させて貰える。 後、偶に行われる学園のイベントに出席するぐらい。
「だから、時間を気にせずに好き放題出来る訳だ」
「……それで態々惨めな負け犬である私に構う訳か」
「仕方ない、アイツにこの学園で勝てる奴は居ない」
「…成程、噂に聞く【鬼人】とやらはアイツのことだったか」
そう言えばそんな異名あったな、アイツ。
そして、メイベルはその事実に気づいた途端に俯いていた顔をガバッと上げて笑顔になった。
「まあ、それなら仕方ないな! 私が決して弱い訳では無かった訳だ!」
コイツチョロいな。 俺がちょっとフォローした瞬間元気を取り戻しやがった。
「覚悟しておけよ、魔王の依り代! お前が少しでも怪しい行動をすれば私の剣がお前の首を切り裂くッ!」
「ああ、決して教会が懸念するような事はしない」
こうして、暫く俺とポンコツな監視役の奇妙な学園生活が始まるのだった。
「あ、おーいアツヤ! 今中庭の自販機に例の葡萄の炭酸飲料、それも限定バージョンが入ったらしいよ!」
「分かった、すぐに行く!」
…しかし、そんな学園生活は決して始まることは無い。 俺が人生を幼馴染に滅茶苦茶にされる日々は変わらず続くのだった。
「待て、私を置いていくなッ!」
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