第23話 教会と聖騎士


 「金は幾らでも払う、如何にかならないか?」


 俺は今も隣で漫画を読んでいる魔王を尻目に見ながら、聖女にコイツをどうすればいいのか相談していた。


 「申し訳ありません、魂に強く付着しているために魔王だけを引き剝がすことは難しいかと」


「……そうか」


 「それと、今のままでは貴方から発する魔王の気配が嗅ぎつけられ、教会の方から排除するために聖騎士が送られる可能性があります。 いえ、確定で送られてくることでしょう」


 「えっマジ? ……どうすればいいんだ?」


 「ですので、今回の件は私に任せてくれないでしょうか。 聖女として悪い様にはさせませんので」


 まあ、最悪学園や全て放り出して逃げれば俺を誰も追ってこれないだろう。 なので、試しに此処は彼女に任せてみよう。


 「──分かった。 よろしく頼む」


 「はい、任せてください!」






 翌日、俺の目の前には一人の聖騎士が立っていた。


 「私が聖女様からお前の監視役として任命された、メイベル・カロリーヌだ!」


 そこにはTHE・堅物な女騎士といった同年代と思われる少女が居た。


 「君、僕の幼馴染に少し失礼じゃない?」


 「お前は誰だ?」


 「生まれた時から一緒に居るアツヤの監視役だよ。 だから、君はもう帰っていいから!」


 しかし、何故かこの状況で俺の幼馴染が横から入り込んでくる。 お前は聖騎士や教会の関係者ですらないだろう。


 「いや、お前は協会の関係者ではないだろう。 この仕事は協会から──」


 如何やらメイベルとやらも俺と同じ考えを持っていたらしい。


 「僕が【あっ君】のことは一番分かっているから大丈夫です」


 しかし、コイツは正論を言われても一歩も引く気は無いようだ。 そろそろ職務妨害のレベルだぞ。


 「……分かった。 それでは決闘でどちらが正しいかを決めるとしよう!」


 お、おいメイベル。 それは一番ダメな選択肢だ!


 「止めろ、決闘だけはやめておけ!」


 「…分かったぞ。 お前は相当この幼馴染のことが大事らしいな!」


 このポンコツ騎士、ニヤけながら此方を向いて勘違いしている。 俺が心配しているのはお前だ!


 「いいよ、それじゃあ闘技場に行こうか! 着いておいで」


 そして、待ってましたと言わんばかりにトウカは足を進めて闘技場の方に歩いていく。


 「良いだろう、存分に聖騎士の力を見せてやろう!」


 この時、この聖騎士以外は全員その結末を知っていた。

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