第18話 旅路と襲撃
暫くアルハイドの街で休息を取った後、俺達は魔王を倒す為に次なる聖具を求めて旅に出た。
「そういえば勇者って他の人間と何が違うんだ?」
アスタが険しい山道を登りながら、ふと思いついたのか勇者について聖女に聞く。
「それに関しては色々とありますが、一番の違いとしては常に魔力に似た聖なるエネルギーが体を廻っていることでしょう。 それによってトウカ様は魔族に対する攻撃がどれも致命傷になり得る攻撃になるということです」
「聖女様の魔法みたいなものか」
「比べるのは烏滸がましい程のものですよ」
今、俺達は聖具の一つである守護の鎧を求めてゴウフ山を登っている。
「師匠、そういえば何か変わった?」
「…別に。 そんなことより、どうして俺はお前の師匠になったんだ?」
「エ⁉ まさかその年で物忘れが激しくなったの?」
「言いたくないなら別にいいが」
「……また二人の時に言うね、師匠」
俺達は永遠とも思えるような長い道を歩く。 本当なら転移ですぐに移動したいところだが、まだ行ったことの無い頂上へは行くことが出来ない。
(全員に飛行魔法でも付与して飛んでいくか?)
……いや、魔力を無駄に使いすぎる訳には行かないか。
日が暮れる直前、俺達は遂にゴウフ山の頂上に着いた。
「……疲れましたわ」
「…支援魔法を掛けたから筋肉痛などは無いはずなんだけどね」
「多分精神的な疲れだな」
「「やっほー!」」
疲れ切ったソフィアとカテリーナとは対照的に、何時も通りのアスタとトウカが楽しそうに叫んでいる。
「まあ、後は俺に任せてお前らは休んでいろ」
そう言い残し、俺は単身飛行魔法で空を飛ぶ。 そして、そのまま移動して山の天辺に残された魔方陣に魔力を流し起動する。
「これが二つ目の聖具か」
突如景色が早変わりし、目の前の台座の上には長らく放置されていながら全く色褪せていない一つの鎧があった。
「…これも全身金色で目が疲れるな」
俺は少しばかり文句を言いながら鎧を空間魔法で疑似四次元空間の中に放り込み、先ほど同様に床に設置されている魔方陣へ魔力を流した。
すると、また景色が早変わり。
だが、眼に映った光景は思っていた景色とは大きく違っていた。
「何がどうなってんだ?」
そこには地面に倒れた勇者達の姿と、一人で戦うカテリーナの姿があった。
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