第17話 聖具と幼女


 魔族を撃退して街の安全が確保された少し後。


 俺達はアルハイドの街にある教会、その地下に一つの武具を探しに来ていた。


 「…ありました。これが勇者の力を引き出す聖具の一つ、対魔の聖剣です」


 「だからこの場所を集合地点に選んだのか」


 そこには金色に光り輝く悪趣味な長剣があった。


 「これって意外と重そうだけど大丈夫なのか?」


 アスタが勇者にしては華奢な体をしたトウカを気遣って心配する。


 だが、予想とは裏腹に奴はその剣を軽々と持ち上げた。  


 「だ、大丈夫そうです!」


 …コイツ、自信がないだけで強さは俺の世界と変わらないのではないか?


 「良かったです。 トウカ様にはこれからこの剣を使って戦って貰いますので」


 「前でこれを振って戦われたら目がチカチカしそ〜」


 カテリーナがその眩しい刀身を見ながら苦笑した様子で呟く。


 「まあ、そういった懸念の対処法については上で話しましょう」

 






 街に戻ると、必死に復興作業に勤しむ人々の姿があった。


 「お兄ちゃん達おかえり!」


 そして、先程あの魔族に襲われていた少女が俺達勇者一行を迎える。


 「た、ただいまロアちゃん」


 「お出迎えありがとうございます!」


 一見ただの十歳にも満たない幼い少女。 だが、生まれつき彼女は眼に特別な能力を秘めている様だ。


 「お前が「あっ君、言葉遣い」──君が魔力や呪力の流れを見れる事に両親は何か言っていたか?」


 「何も言ってなかったよ。 ただ凄いなぁーって」


 どうやらこの子の両親はとても能天気な人達の様だ。或いは親バカの二人だ。

 

 「それにしても困りましたね。アツヤさんの召喚獣によるとこの街同様にあらゆる場所で魔族の襲撃が行われている様子」


 「そんな中でこの子を安心して預けられる場所はあるのかしら」


 ソフィアとカテリーナが浮かない顔をしてそう呟く。


 「あ、アツヤの学園はどうかな?」


 「・・・・・確かにそれが一番マシな選択肢だな」


 「えー! ロアお兄ちゃん達と一緒にいる!」


 暫く俺達は駄々を捏ねる幼女と揉めた後、渋々彼女は転移魔法で学園に送られる事になった。


 後、聖剣は上から黒く塗装する事で輝きを抑える事になった。 聖女曰く、塗装程度では性能に大きな変化は現れないとのことらしい。


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