第14話 剣聖と弟子


 俺達は用意を終えて出発前の作戦会議を行っていた。


 「まずは【大賢者】様と同じ様に魔王討伐に参加してくださる協力者と合流いたします」


 「た、確かすぐ近くにあるアルハイドの街に【剣聖】とあっ君の弟子、【大賢者の弟子】と言われる英傑のお二人が居るんだっけ?」


 「俺の弟子? ──それにしてもアルハイドの街か、確かオークの串焼きが名物の場所だっけな」


 俺は少し前に行った時のことを思い出しながら魔力を練る。


 「お前達、今から転移するから俺に掴まれ」


 二人が俺の服の裾を掴んだのを確認したので、魔力を解き放って転移の魔法を発動する。






 転移を終えた瞬間、目の前に広がるのは炎の渦だった。


 「ここは、アルハイドの街なのか?」


 「…まさか、もう魔族の進行が始まっていたようです!」


 「な、何とかしないと…」


 大勢の人が襲い掛かる魔族や炎の渦に巻き込まれて悲鳴を上げている。 中には倒れた家屋の下敷きになっている人もいる。


 「だが、今の俺に全員を救うことは───体の調子が元に戻っている!?」


 いや、転移前以上に魔力の高鳴りが大きくなっている。 まさか俺の体も世界線が変動したことで大きく変わってしまっているのか?


 「…取り敢えず悩むのは後だ。 お前達、怪我人を救出しろ!」


 俺は水の妖精であるウンディーネや回復魔法を操る小人、ピクシーなどを呼び出して救助や魔族の撃退に向かわせる。


 「俺達は取り敢えず目的の二人と合流するぞ!」


 「はい、私が案内しますので着いてきてください!」


 俺達は護衛を召喚獣に任して先に進む。 しかし、途中でトウカが死人などを見て腰を抜かしたために俺が運ぶことになった。


 「お前本当にトウカかよ、まるで転移前とは真反対だな」


 「ご、ごめんなさい。 慣れるべきだとは分かっているんだけど」


 「お二人様! 見えました、あの二人が【剣聖】のアスタ様と【大賢者】様の弟子であるカテリーナ様です!」


 そこには卓越した剣技で魔族を葬るアスタの姿と、俺と同じ空間魔法を使って魔族を翻弄するカテリーナの姿があった。


 「アスタ様、カテリーナ様、勇者パーティ現着しました!」


 …剣聖が誰かは薄々分かっていたが、まさかこの世界の俺の弟子がカテリーナだったとはな。


 「師匠、待ってたわよ!」

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