第5話 占星術と迷い鳥


 俺は悩んでいた。どうすれば俺強えぇぇ! ができるのか、と。


 ある時は幼馴染を神殿に封印したが、何故かパワーアップして俺が戦っている場所に現れ、何時も通り敵をワンパンで倒して帰っていった。


 また、ある時トウカが家族旅行中だったにも関わらず俺とクリスタルゴーレムが死闘を繰り広げる中をパンを咥えながら走り、偶然クリスタルゴーレムとぶつかってそのまま粉砕。


 そして、前回も俺が魔族を倒す直前という時に運悪く奴が到着して見せ場を掻っ攫っていった。



 「という訳で、俺はソイツに何故か毎回邪魔されるんですよ」


 俺は内容を所何処ぼかし、何故か占星術の店にアルバイトとして来ていた聖女に相談した。


 「なるほど。トウ…その腐れ縁の人に大事な所で横槍を入れられるということですね?」


 「そうです、まるで図ったかのようなタイミングで奴はやって来るんです!」


 「そ、そうですか」


 彼女は少し震えながら俺の話を聞いていた。


 「本来なら余りこういう事に力を使うべきではありませんが、貴方がそんなに困っているならこの聖女であるソフィア・グランデが力になりましょう!」


 「おおっ!」


 彼女が力強くそう言うと、机の上に水晶やら空の絵などが描かれたカードやらを取り出して詠唱を始めた。


 「これが聖女式の占星術か…」


 「……分かりました。 貴方が何故、そのお方と巡り合う運命なのかを」


 「もう分かったんですか!?」


 彼女はそう言うと、近くにある鞄から一つの鋏を取り出した。


 「如何やら貴方と宿敵と言われる人は赤い糸の様な強い繋がりでお互いが結ばれているようです。 つまり、運命を切ることが出来るこの鋏を使えば何とかなるかもしれません」


 「聖女様、それって勝手に使って大丈夫なのですか?」


 「多分、大丈夫です」


 …まあ、大丈夫と彼女が言っているんだし、お言葉に甘えてその運命の糸とやらの腐った繋がりを断ち切ってもらおう。


 「それでは行きます、心の準備はよろしいですか?」


 「…お願いします!」


 俺の言葉を聞くと聖女様は笑顔で鋏を閉じ、俺とアイツを繋ぐ運命の糸とやらを断ち切った。


 「これであなたと…つ、繋がった?」


 「繋がったってどういうことですか?」


 「糸を断ち切った瞬間、何か強い意志の様なもので糸自体が繋がり始めたのです」


 …ということは。


 「どうやらこの方法では駄目なようです。 で、ですが他にも色々な方法があるので試してみましょう」


 「お、お願いします」






 色々試した結果、どうにもならなかった。


 「ごめんなさい、私の力では如何にもできなかったみたいです」


 「いえ、今日はありがとうございました」


 如何やら俺とアイツは謎の強い繋がりで結ばれているようだ。



 「訳が分からないよ……」



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